赤旗2020年12月22日付
日本共産党の小池晃書記局長は21日、2021年度政府予算案について、次の談話を発表しました。
一、本日、菅内閣が閣議決定した2021年度予算案は、喫緊の新型コロナウイルス感染拡大に対する菅内閣の「無為無策」と逆行をあらためて鮮明にするものとなった。感染拡大と収益悪化による経営困難という二重の危機を抱えながら最前線で奮闘している医療現場への支援は全く不十分である。「経済との両立」といいながら雇用や事業維持のための支援は終了・縮小し、消費税減税の国民の要求には背を向けたままとなっている。その一方で、感染拡大につながることが懸念されている「Go To」事業の継続予算の計上に固執している。これでは、国民の命も暮らしもまもれない。
一、コロナ禍で浮き彫りとなった日本社会の脆弱(ぜいじゃく)性を克服するという方向性も、この予算では示されていない。医師・看護師の不足という構造的な問題を解決する方針はなく、逆に公立・公的病院統廃合を推進しようとしている。保健所も、保健師増員は保健所職員の3%というわずかなものにとどまり、自民党政治が半減させた保健所数を元に戻す方向性は全くない。コロナ禍で大きな打撃を受けた非正規雇用の正規化のための施策も全く盛り込まれていない。
一、「社会保障の自然増を削減する」という方針を21年度も継続し、来年の国会には75歳以上の高齢者の医療費負担を2倍に引き上げる法案の提出を決めたことは、菅内閣の冷酷な姿勢を示すものである。小学校の35人学級が決まったことは多くの国民の運動の成果だが、「小学校だけ、5年かけて」という不十分な内容にとどまり、文教予算は増えるどころかマイナスとなった。中学校や高校も含め一刻も早く35人学級を実現し、さらに30人学級へ進むべきである。
一、大企業には「デジタル化」や「国際金融センター」などの名目で、税制優遇や各種基金の創設による支援策を強化する一方で、中小企業には「経営転換」を条件とした融資制度などによって、“中小企業の淘汰(とうた)”に踏み出そうとしている。コロナによる需要減のもとで低落している米価をはじめ、農水産物価格の下支え策も取られていない。「温暖化対策」と称して核燃料サイクルや新型原子炉開発をあいかわらず推進していることも重大である。
一、軍事費は9年連続の増額、7年連続の過去最多更新となった。長距離巡航ミサイルの開発・取得と、搭載する戦闘機のための予算が計上され、「敵基地攻撃」能力の保有に本格的に乗り出す危険なものである。さらに、「いずも」型護衛艦の空母化の予算がひきつづき計上されており、「海外で武力行使する国」への道をつき進もうとしている。「イージス・アショア」に替わる新型イージス艦建造の調査費を計上したことも重大である。
一、菅内閣は、違法・違憲な日本学術会議への人事介入をはじめとした強権や冷酷政治の一方で、国民には「会食の自粛」を求めながら首相自らは連夜の会食を行うという無責任な行動を続けている。こうした政権に国政をまかすわけにはいかない。日本共産党は、21年度予算の抜本的な組み替えを求めるとともに、一日も早い政権交代、野党連合政権の樹立のために奮闘するものである。