赤旗2020年11月8日付
日本学術会議の会員任命拒否問題で国会論議がすすむ中、自民党内から「学問の自由」を公然と否定するような発言が相次いでいます。自民党の伊吹文明元衆院議長は５日、派閥の会合で、菅義偉首相による任命拒否問題に関連して、国民や野党から「『学問の自由』に反する」との批判に対して「『学問の自由』といえば、水戸黄門の印籠の下にひれ伏さなくてはいけないのか」などと学問の自由を攻撃しました。
さらに、伊吹氏は学術会議について「内閣の一組織だ。政治的発言は自粛しないといけない」と述べ、同会議が２０１７年に軍事研究に反対する声明を出したことなどを批判。学術会議が独立した立場で政府に対して発言することを公然と封殺しようとする発言です。日本共産党の小池晃書記局長は記者会見で「印籠を突き付けられるのは悪代官と相場が決まっている」と皮肉りました。
同党の新藤義孝政調会長代理は６日、ＢＳ―ＴＢＳのテレビ番組で、政府が「一定の調整」として会員の選考、推薦に介入する問題で「事前の調整、すり合わせ、介入が悪いことだと。だれでもが通常どんなふうに考えていますかとやり取りすれば、どこの世界でも（事前の調整は）当たり前」と介入を正当化。「このこと（学術会議の人事)に限ってのみ、事前の調整をけしからんなどということは、世の中でありえますか」などと日本学術会議法を無視した暴論を繰り広げました。
また、同党の柴山昌彦幹事長代理はＮＨＫ番組（１０月２５日）で「１９５０年の軍事研究は行わないという提言を盾に、いま軍民両用のデュアルユース（民生技術の軍事転用）の研究などが、諸外国、日進月歩しのぎを削っている中で、こうした研究がなかなか進まないという問題点も指摘されています」などと軍事のための研究を否定する学術会議を批判したうえで、「候補者の過去の実績や活動にかんがみて」任命したと述べました。軍事研究への態度が会員任命の有力な基準となったことをあからさまに表明しました。