日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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コロナ危機打開 国民の命と暮らし守る 学術会議6人の任命拒否 撤回を迫る 参院予算委 小池書記局長の質問

2020年11月09日

赤旗2020年11月8日付

 

 日本共産党の小池晃書記局長は6日の参院予算委員会で、日本学術会議の会員候補を任命拒否した問題で、菅義偉首相が前日に突然、推薦前の「事前協議」と答弁したことについて追及しました。さらに、新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける医療機関や中小企業、労働者、文化・芸術団体への支援の継続・強化を求めるとともに、選択的夫婦別姓の実現を迫りました。質疑の内容を詳報します。


 

小池 「露骨な政治介入宣言だ」

首相 任命に当たっての考え方をすり合わせた

小池 明らかな法違反

 

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=6日、参院予算委

 日本学術会議の会員任命をめぐって、菅義偉首相は「推薦前の調整」がなかったことを5日、任命拒否の理由に突然持ち出しました。小池氏は「調整」の中身を明らかにするよう迫りました。

 

 小池 総理は昨日、自民党の質問に対して「以前は内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていた」と答弁されました。「以前」とはいつのことですか。

 首相 今回でなくて、その前です。多分3年前だと思います。

 小池 2017年の半数改選時ということですか。

 首相 そうです。

 小池 「以前」と言うけど、1回だけだったということですね。「一定の調整」というのは何ですか。

 首相 まず、一昨日に官房長官から衆院予算委員会においてご説明をしています。人事のプロセスについては基本的には説明は控えさせていただいていますが、可能な範囲で申し上げれば、以前は、学術会議から正式の推薦名簿が提出される前に、さまざまな意見交換の中で内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたと。ここは、一昨日、官房長官が申し上げたところであります。(小池「一定の調整」なんて言っていないですよ)

 首相 ちょっとお待ちください。今、官房長官の件、私、失礼しました。学術会議から正式な推薦名簿を提出する改選前においてもさまざまな意見交換が内閣府の事務局と学術会議の会長との間で行われていた。そうしたやりとりを踏まえながら、場合によっては、補充人事というんでしょうか、それが出されていなかったという場合もある、結果的に日本学術会議が推薦を行えなかった。こういうことを11月4日に発言をしています。(「答えていない」などのヤジ)

 首相 一定の調整でありますけれども、任命に当たっての考え方を申し上げて意見交換をしたと。まあ、そういうことです。

 小池 いや、意見交換だけじゃないでしょう。一定の調整でしょう。意見交換の結果、どういう調整をしたんですかと私は聞いているんです。

 首相 これ、3年前の話ですけれども、任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということであります。内容については差し控えたい。

 小池 一定の調整の中身は全く答えていません。

 首相 人事のプロセス(経過)の説明は差し控えますが、任命に当たっての考え方を申し上げ、その意見交換をした。

 小池 人事だから言えないということは、個別の人事に関わる調整をやったということですね。

 首相 任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということです。

 小池 答えてない。個別の人事に関する調整やったんですかと私聞いているんです。

 首相 個人の人事のプロセスの説明は差し控えますが、いずれにしろ、任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということです。

 

 菅首相自身が初めて持ち出した「調整」について聞かれているのに、まったく答えられない菅首相。慌てる菅首相が、後ろの官僚にメモを出すよう振り返る場面が繰り返されるようになります。菅首相は「人事のプロセスの説明は差し控える」「意見交換をした」などと“壊れたレコード”のように20回も同じ言い回しの答弁を連発。委員会室では「自助」「自助」「まずは自分で答弁してみようよ」などのヤジも。審議は質問のたびに止まりました。

 

推薦前の段階で政府が関わることは法に照らし認められない。学術会議の独立を脅かす

 

 小池 まあ、要は答えられないんですよ。学術会議法第17条は、会員の選考と推薦は学術会議が行うと明記しているわけです。法の3条では、学術会議の職務は独立して行われるとなっている。これ、政府からの独立なんです。政府が委員の選考や推薦に実質的に関わることなどは、学術会議法に照らして断じて認められない。政府との事前調整がなかったから推薦どおりには任命しませんでした、そんなことを言い出したら、まさに学術会議の独立を脅かし、政治介入そのものではありませんか。

 首相 先ほど来申し上げていますけれども、調整については、任命に当たって考え方をすり合わせたということであります。そして、これは3年前の話です。今年については行っていませんので、お答えできませんということを申し上げています。同時に、私ども政府として、推薦は学術会議しかできないということは十分に承知しております。

 小池 推薦する前に介入したんじゃないですか。それを学術会議側が協議に応じなかった、あるいは合意しなかった。で、一定の調整ができなかった。そうすると、今回のように任命を拒否することがあり得るんだと。これ、露骨な政治介入じゃないですか。そのことを認めますか。

 

 菅首相は、官僚の差し出すメモに目を落としたまま、憲法第15条1項を再び持ち出し、任命権者である内閣総理大臣が行う任命権の行使が会議の職務の独立性を侵害することになるとは考えていないと繰り返しました。

 

 小池 それは今までも(総理が)何度も何度も言ってきたことですけど、今回は違うんですよ。今まで総理は、推薦された人をそのまま任命しなければならないというわけではないと。こういうこと自体、違法、違憲だと思いますよ。しかし、これは任命段階の話でしょう。ところが、今回の話は任命以前の話なんです。学術会議会員候補者の選考と推薦の段階の話なんです。段階が違う。そのことは認めますね。

 

 菅首相は「推薦前のことであることはわかっている」としたものの、憲法15条を持ち出して任命行為の正当化を繰り返しましたが、小池氏は「段階が違う」と一蹴。学術会議が推薦名簿を提出する前に、政府が事前協議を求め、それに応じなかったら任命拒否もありうるという政府の行為の違法性を問うているとして、菅首相のすり替えを厳しく追及しました。菅首相は質問を理解していないのか、まったくかみ合わない答弁を連発。菅首相は答弁に立てなくなり、審議は何度も中断し、山本順三予算委員長がたまらず、加藤勝信官房長官を指名しました。

 

 官房長官 先ほど総理答弁されたように、この推薦名簿が提出する前において、私どもの任命に当たっての考え方等について、学術会議側あるいは事務局を介してそれぞれ意見交換をしてきたということであります。それを踏まえて、当然、学術会議はご自身の判断で推薦名簿を出され、そして、その推薦名簿について、私どもは、従前総理が申し上げているように、まさに任命の考え方にのっとって判断をさせていただいた、こういうプロセスであります。

 小池 いや、だから、僕が言ったとおりじゃないですか。会員候補者の選考と推薦の段階で政府は意見を言えますと、で、意見が入れられなければ任命をしないこともできると、そういうことですねと。何で違うのか説明してください。

 官房長官 ですから、あくまでも考え方を申し上げているので、こうじゃなきゃいいとか、こうでなきゃ駄目だとか、そういう話ではないわけで、それを踏まえて正式な推薦名簿が出されてきた。それを踏まえて、われわれが任命の考え方にのっとって任命をする、あるいは任命に至らない方が結果として出てきたと、こういうことであります。

 首相 今、官房長官が答えたことと一緒であります。

 小池 総理がこんなことでいいんですか。総理の言葉でしゃべってください。

 首相 推薦前において任命の考え方のすり合わせを行った、それを踏まえて推薦名簿が出てきて、それを受けて任命の考え方に基づいて任命を行ったというプロセスであります。

 

会員の選考・推薦段階から政府が介入しますと宣言するもの

 

 小池 要するに、推薦前の段階で政府が意見を伝えて、それに基づいてすり合わせて、それで名簿ができてくる。介入なんですよ、これは。だって、そんなことは日本学術会議法のどこにも書いていないんです。これ、明らかな法違反。日本学術会議法第17条は、学術会議の会員の選考・推薦は学術会議が行うと書いてある。その名簿作りに政府が関わったことになるわけですよ。これは法違反。それと、今までの説明と全く違うんです。今までの説明は、学術会議の推薦名簿をそのまま認めていいのかどうかという話だったけれども、今回の話はそれ以前の、名簿作成以前に調整する、調整できなかったら任命拒否をする。全く違う話を突然昨日言い出したんです。それで、自分で言っておきながら説明できなくなっているわけです。

 首相 一定の調整ということは初めてですが、それは任命の考え方のすり合わせという意味であって、前日に官房長官が意見交換などと答弁したものと同じであります。

 小池 全く違うと思います。大体、総理は、最初は「総合的・俯瞰(ふかん)的」、次は「多様性が大事だ」「旧帝国大学の比率が高い」「私立大学の比率が低い」と。それで、実際の任命と矛盾するじゃないかと言われたら、「個人の任命の判断とは直結しない」と言い始めた。もう本当くるくるくるくる説明が変わって、ついに、「会員の選考と推薦の段階から政府が介入します宣言」を昨日やったわけでしょう。露骨な「政治介入宣言」ですよ。でも、本会議の代表質問でも、予算委員会でもこんな話は一切出なかった。昨日、自民党の質問になって初めて出てきた。委員長、予算委員会の基本的質疑、もう一回最初からやり直してください。議論の大前提が変わったんですから。その際には、杉田(和博)官房副長官には出席を求めます。

 

小池 総理の考える「学問の自由」とはどういうものか

首相 国民の基本的人権の一つできわめて重要

小池 個々の学者の研究だけでなく学者コミュニティーの自主性・自律性を保障するもの、学術会議にとって政府からの独立性が重要

 

 続けて小池氏は「学問の自由」に対する首相の認識をただしました。

 

 小池 総理の考える「学問の自由」とは一体何ですか。

 首相 全ての国民に保障された基本的人権、特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思っています。

 小池 学問の自由というのは、個々の研究者の学問研究の自由だけではないという理解でよろしいですね。

 首相 今申し上げた通りです。

 小池 今申し上げた通りは、私が言った通りですね。

 

 菅首相は学者コミュニティーの自律性の重要性には全く答えずに手元のペーパーをひたすら棒読み。同じ答弁を3回も繰り返しました。小池氏が重ねて「例えば、学会の中での議論の自由、研究の自由、活動の自由、それを保障することも重要じゃないですか」とただすと、今度は答弁に立てなくなり、山本予算委員長が近藤正春内閣法制局長官を指名。「呼んでいない」「首相に聞いている」と野党議員らの猛抗議で騒然とするなか、近藤局長は「あくまでも学問の自由というのは大学という組織に非常に着目して理解されている」などと述べましたが、怒号にかき消されて議場ではほとんど聞き取れませんでした。

 

 小池氏は「法制局に答弁を求めていない」と抗議した上で、学術会議の政府からの独立性について首相の認識を問いました。1949年に日本学術会議が創設された際、吉田茂首相が祝辞で「時々の政治的便宜のための制肘(せいちゅう)を受けることのないよう高度の自主性が与えられる」と明言したことをあげ、学者コミュニティーの自律性、自主性を尊重することが、個々の研究者の学問研究の自由を保障するために絶対不可欠だと指摘。なかでも学術会議は、科学、学問の見地から政府に意見を述べることを任務とするところであり、政府からの独立性が最も求められる組織だと述べました。

 

 小池 総理、もう一回聞きます。憲法23条が保障する学問の自由には、個々の学者の研究内容だけではなく、学者コミュニティーの政府からの独立性の保障が不可欠である、なかでも日本学術会議は法でうたっているわけです。これはもうはっきり答えていただきたいんですけれども、政府からの独立が極めて重要な組織であると。イエスかノーかでお答えください。

 首相 学術会議は、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されている国の機関であります。

 小池 最も独立性が保障されなければいけない組織だという認識を持っていない。それではダメだ。どんな政治的思惑があっても政府に対して物を言うというのが学術会議であり、それを保障するのが政府の責任だ。

 さらに小池氏は、会員の選出方法を変更した83年の国会で、中曽根康弘首相が問われてもいないのに「政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障される」と答弁したことを紹介。過去37年間、歴代総理は単なる「前例踏襲」で任命を行ってきたわけではないと批判しました。

 小池 中曽根首相をはじめ、憲法で保障された学問の自由は極めて大事だから、その趣旨を踏まえて、会員選考における自律性の尊重が学術会議の独立性の担保になると、そういう立場で任命してきたんだと思います。それなのに、総理はこの形式的任命を覆したんですよ。だから私は、総理がやったことは学問の自由を脅かすものに他ならないと申し上げます。学問の自由の侵害そのものじゃないですか。

 首相 日本学術会議法上の推薦に基づく会員の任命については、憲法第15条第1項に基づけば、推薦された方々を必ずそのまま任命しなきゃならないということではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方であり、今回の任命も法律に基づくものであります。

 小池 答えていない。今回の任命拒否は学問の自由を脅かすものではないですか。

 首相 学問の自由は極めて重要な権利ではありますが、学術会議の会員の任命は、憲法第15条第1項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者の内閣総理大臣が日本学術会議法に沿って国の行政機関に所属する公務員を任命するものであり、個人の学問の自由との関係で問題になるとは考えていません。

 小池 学問の自由ということについてこれほど軽い答弁はないと思いますよ。何かメモがなきゃしゃべれないような話じゃないでしょう。政治家としての憲法に対する考え方を披瀝(ひれき)するべきなんじゃないですか。それが全くない。

 

学問の自由を守るといいながら、自由や人権を侵害してきた戦前と同じ

 

 その上で小池氏は、戦前、政府側が学問の自由を守ると言いながら弾圧を繰り返してきた歴史を紹介しました。

 

 33年の滝川事件の際、当時の文部省は「いかなる学説でも、それを研究することは自由」としながら、滝川幸辰(ゆきとき)京大教授の講演内容を問題としました。京都大学の教授会は「もしいっときの政策により教授の進退が左右されれば、学問の真の発達は阻害される」と抗議しましたが、政府は「文部大臣が監督下の大学教授を任免できないことは不都合」とし、休職処分にしました。

 

 35年に天皇機関説の禁止を求める建議が参議院の前身である貴族院で審議された際も、本会議場で賛成討論に立った議員はこう演説しました。「学問の自由というのはどこまでも絶叫いたしたい。けれども、わが国においてはその自由というものはある点において束縛せらるべきであるということを私は自信いたしておる」。そして、学説の代表者である美濃部達吉貴族院議員の著作は発禁処分とされ、美濃部氏は貴族院議員を辞めさせられ、公職から追放されました。

 

 小池 権力の側は、いつでも自由は守ると言いながら自由や人権を迫害してきたんです。菅政権がやっていることは、戦前の政府がやった学問の自由の侵害と一体どこが違うのか。結局同じことをやっているんですよ。私は、この危険性に警鐘を鳴らしたい。

 そして、今学者の世界で何が起こっているか。きょう、史上初めて人文社会系の220の学会が、研究分野を超えて理由の説明と6人の任命を求める共同声明を発表しました。こんなことは日本の歴史でかつてなかったことですよ。総理、そういう危機感が今広がっていることをどう認識されていますか。

 首相 ご意見として伺います。

 小池 テレビで見ている国民はこの総理大臣でこの国大丈夫だろうかと思っていると思いますよ。あなたの行為そのものが答弁の欺瞞(ぎまん)性を示していると思います。事態を解決する全ての責任は6人の任命拒否を行った総理にある。撤回を強く求めます。

 

小池 コロナ感染症とたたかう医療機関への支援はまったなし

厚労相 (支援を届ける期限語れず)

小池 「3兆円の支援」というが届いたのは1割、遅すぎるし支援の規模も小さすぎる

 

 小池氏は、新型コロナウイルス感染者が1日1000人を超えたとして、「徹底したPCR検査で陽性者を保護し、感染拡大を抑えるとともに、医療機関への支援は待ったなしだ」と述べ、深刻な経営難に陥る医療機関への損失補てんの実現を迫りました。

 

 小池 日本病院会は、「病院への支援が継続されない場合、地域医療を支える病院が経営破綻し、新型コロナウイルス対応が不可能になるのみならず、地域医療が崩壊する危険すらある」としています。

 総理は、私の本会議質問に「これまで3兆円の支援を行ってきた」と答えました。緊急包括支援交付金約3兆円のうち、医療機関に届いているのはいくらですか。

 田村憲久厚生労働相 国直接執行分と都道府県の執行分があります。都道府県分では2・7兆円中、いま3000億円という形です。

 小池 3兆円の支援をやっているというけれど、実際には医療機関に届いているのは1割、3245億円しかないんです。なんでこんなに遅れているんですか。いつまでに3兆円届けるんですか。もう年末ですよ。

 

 さまざまな言い訳を並べ、期限を明確に語れない田村厚労相に、小池氏は、「いろいろ言ったけれど、要するに3兆円のうち3000億円しか医療機関に届いていない」と指摘。田村厚労相が大臣就任前、テレビに一緒に出演したことに触れ、「1次補正が出たとき、さんざん文句を言っていたじゃないですか。『これは不十分だ』と。意見一致しました。大臣になったら全然違うじゃないですか」と語ると笑いが起こり、次のように指摘しました。

 

 小池 だいたい支援の規模が小さすぎる。自民党の医療系議員団本部の第2次補正予算の試案は7兆円です。医療分だけで6兆円です。大臣になったら主張を変えたんですか。そんな情けない話はない。

 厚労相 遅い遅いという議論は以前からありました。10月30日に改めて早くお願いしたいと、都道府県に依頼をしました。交付金などを含めた3兆円を使って、まずは各医療機関に対応し、場合によってはさらなる対応の必要があれば検討したい。

 小池 場合によってではなくて、そういう場合なんです。悲鳴が上がっているんです。いまの支援では全く不十分です。

 

医療機関でのボーナスカットはあってはならない、「感謝」「敬意」を言うなら損失補てんを

 

 その上で小池氏は、医療機関で働く医療従事者の冬の一時金について、「日本医労連加盟組合の8割近くで冬の一時金引き下げの動きがあります。すでに引き下げ回答をした4分の1で平均10万円以上の引き下げです。最前線でコロナとたたかう医療従事者のボーナスが引き下げられる、こんな理不尽あってはいけない」として、政府の姿勢をただしました。

 

 小池 「感謝」と「敬意」を言うのであれば、損失補てんをして、「ボーナスが出ない」「引き下げられる」、こういう事態を防ぐ。これが政治の責任じゃありませんか。

 厚労相 医療機関が厳しい中で、最大限、緊急融資もやってきました。「夏のボーナスも一定程度影響が出てきている」「冬のボーナスも大変心配だ」という声も聞かせていただくなかで、2次補正等々、予備費も使って対応してきました。各医療機関になるべく必要な資金がいくようにと考えていますが、補てんができれば一番いいんですが、個々の医療機関がどれだけあるかを考えると、なかなか対応が難しい。一定の出し方をさせていただいて、各医療機関に資金がしっかりと回っていくような方法が早いであろうと。これがいま遅くて怒られているわけですが、そういうことで対応させていただきたいと考えています。

 小池 「損失補てんだと遅いから」「時間がかかるから」と言って、結局遅いじゃないですか。1割しか届いてないんですよ。自助でも、共助でもなくて、公助です。損失補てんを求めます。

 

小池 「持続化給付金」は1回限りとせず、コロナ収束まで継続支援を

経産相 感染状況と経済の動向を見ながら対応する

小池 コロナ危機で中小企業の売り上げ減少、来年にむけた次の一手が必要

 

 小池氏は、コロナで売り上げが減った事業者を支援する持続化給付金について、執行状況をただしました。梶山弘志経済産業相は、5日までに約390万件の申請を受け付け、約370万件、約4・8兆円を届けたと答弁しました。

 

 小池 持続化給付金は売り上げ減が5割以上という要件など問題点はありますが、現場からは一息ついたと喜ばれている。これを1回限りとしないでコロナ収束まで事業を維持できるように継続的な支援をやるべきではないか。

 経産相 まだ足元で何十万件か申請が出てくるという状況も踏まえて、多層的な対策を講じています。引き続き内外の感染状況や経済の動向を注意深く見極めていきたい。

 小池 「東京商工リサーチ」の調査では、9月も6カ月連続で8割の中小企業が前年同月比で売り上げが落ちている。企業の破綻は、9、10月と増え始めている。支援策の効果が切れ始めているんじゃないか。

 当面業績改善の見通しが立たない中で、過剰債務のままで手元資金が枯渇する中小企業が増えてくることが懸念されるわけです。年末資金が枯渇してボーナスが払えずに、その結果個人消費が冷え込んでいくという悪循環になるんじゃないか。「今年度中にリストラしてしまおう」「身軽になって来年度を迎えよう」という企業も増えてくる可能性がある。

 そういう中で、いま来年に向けた次の一手が本当に大事なときに来ているんじゃないかと思います。

 経産相 サービス業を中心に、地方の中小企業で大変厳しい声も聞いています。状況を見極めた上で、政府内で検討して対応していきたい。

 

中小企業に対して「新陳代謝」(財政審部会長代理)、「現在の半分以下に」(首相ブレーン)とは言語道断

 

 その上で小池氏は、財務省が財政制度等審議会に出した資料で「持続化給付金及び家賃支援給付金は予定どおりに終了すべき」だと明記し、部会長代理が「期限をずるずると先延ばしすると、本来はより良く新陳代謝が促される機会が奪われてしまう」と発言していることを告発しました。

 

 小池 「新陳代謝」ということは、「倒産させろ」ということでしょう。本来は弱るはずのない企業がコロナで弱っている。そんなときに新陳代謝を持ち出してつぶす。経産省はこういう立場ですか。

 経産相 企業を支援するということは、その企業の存続と雇用の維持が一番大事だと思っています。そういう視点で対応したい。

 小池氏は、菅首相のブレーンとされ、成長戦略会議の委員に起用されたデービッド・アトキンソン氏が「中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度に減らすべきだ」としていることを告発。「コロナ禍の下で雇用の大半を担う中小企業の再編を進めるようなことをすれば、雇用情勢は、一段と悪化させることは間違いないと思う。いまは中小企業の雇用維持を最優先にすべきときではないか」として、菅首相の認識をただしました。

 首相 アトキンソン氏に限らずさまざまな方から話を聞いて政策の参考にしており、1人の意見をそのまま採用するわけではありません。

 感染症の影響で、中小企業を取り巻く状況は極めて厳しいと認識しています。中小企業政策については、小規模事業者の淘汰(とうた)を目的とするのではなく、経営基盤を強化することで、中堅企業へ成長し、海外で競争できるような企業を増やすことが重要だと思っています。あわせて、地域の経済や雇用を支える小規模事業者が持続的に発展をすることも重要だと考えています。

 小池 そう言うのであれば、財政審が言っているような「新陳代謝を促すときだ」というのは反対だとはっきり言ってください。

 「いま申し上げたのが私の考えです」と述べるだけの菅首相に対して、小池氏は「いま言われたことは、財政審が言っている新陳代謝を促すときだと違うでしょう」と追及。麻生太郎財務相は「中小企業、中企業、中堅企業が日本の経済の一番基幹だと思っています」と答えながら、「新陳代謝」については語らないまま。小池氏は次のようにただしました。

 小池 アトキンソン氏は「小規模な企業は労働生産性が低い」というが、大きいところはスケールメリット(規模による優位性)があるんだから、そんなことは当たり前じゃないですか。

 そもそも経済は、生産性だけじゃない。多種多様な中小企業が多数存在する、それが次の産業を牽引(けんいん)するイノベーションを起こして、日本経済の牽引力になってきたんじゃないですか。中小企業が低利益になるのは、大企業が中小に対して一方的にコストに見合わない取引条件を押し付けているから。しかも、コロナで経済活動の自粛、縮小を求めているときに、コロナさえなければ順調に経済活動ができるような中小企業を「ゾンビ企業」呼ばわりして、切り捨てるというのは言語道断だと思います。そういう議論を財政審で始めているじゃないですか。

 財務相 財政審にもいろいろ意見があるという話をしているんです。

 

日本共産党は中小企業の事業継続・維持に「地域事業継続給付金」を提案

 

 小池 私たちは、持続化給付金を改善して継続するとともに、新たに地域や業種の実情に合わせた中小企業の事業を継続、維持するための「地域事業継続給付金」が必要だと提案しています。国がそのための交付金を地方に支給する、地方・業種によって状況はいろいろ違うから、一律でない制度を考えるべきじゃないか。

 経産相 中小企業は多種多様、地域によってそれぞれの役割も違ってくる。利益だけを追求せずに地域に貢献している企業もあると思います。

 地方自治体が中小企業に目を向けており、地方創生臨時交付金などが入っていますが、それらにはまた政府で考えていく必要があろうかと思っています。

 小池 前向きに提案しているので、ぜひ検討していただきたい。

 

小池 コロナの影響による「休業手当」が支払われていない

厚労省局長 まったく支払われていないのは全体の24%…1000人以上の企業でも16・4%にのぼる

小池 とくに大企業の非正規が深刻、飲食業などは対象外

 

 労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査では、休業を命じられながら、企業から労働基準法で義務づけられている休業手当が全く払われていない労働者は全体で24%、1000人以上の企業でも16・4%に上ります。小池氏は、大企業で働く非正規雇用労働者がとくに深刻だと指摘。コロナ禍による休業で収入が減った労働者への国の休業支援給付金が、予算額の5%強しか支給されていない実態を示し、政府の姿勢をただしました。

 

 小池 (休業支援金の)不支給件数を述べてください。

 田中誠二厚労省職業安定局長 不支給決定件数は10月29日時点で2万516件です。

 小池 2万件強も門前払いで支給されていないのは深刻だと思う。休業支援金の対象企業の定義も問題で、飲食業の場合、(従業員規模が)50人以上だと大企業扱いになってしまい対象外です。総務省の経済センサス(統計調査)を見ると、そこで働く労働者は42万人。宿泊業では100人以上の事業所は対象外だ。宿泊業では100人以上の事業所が「大企業」扱いで、20万人の労働者が対象外だ。この2業種だけでも60万人以上が最初から対象外になります。しかも、ここにはチェーン店などは入っていませんから、実際にはもっと多くの人が請求すらできない。この仕組みは見直す必要があるのではないですか。

 厚労相 大企業には雇用調整助成金などで企業の責任を全うしていただければありがたい。

 

企業規模にかかわらず休業支援給付金の対象とするよう党派を超え実現しよう

 

 小池 現実には、大企業でも、とくに非正規には休業手当が出ていないと最初に言ったではないですか。50人、100人の一番傷んでいる宿泊業や飲食業を大企業扱いして除外していいんですか。

 野党は、企業規模にかかわらず休業支援給付金の対象にする法案を共同で出しています。ぜひ党派を超えて、本当にいまの苦境を救うための議論しようじゃないですか。(拍手)

 厚労相 まずは企業がしっかりと対応いただく。

 小池 現場の実態を見てください。現場の苦しみに応えるのが政治の責任です。そういう議論を呼び掛けたい。

 

小池 コロナ感染によるライブエンターテインメント市場への影響をどう把握しているか

文科相 今年は、昨年に比べて約8割の減少

小池 スポーツも含め2億2900万人の足を止め感染防止に巨大な貢献、損失補てんは政治の責任

 

 小池氏の質問に、萩生田光一文部科学相は、コロナ禍のもとで、ライブエンターテインメント(演劇や音楽などの公演・興行)は、今年の市場規模が1306億円と前年比8割減(ぴあ総研)になるという試算を紹介しました。スポーツも含め来年1月までの1年間で2億2900万人の観客の足を止めると見込まれており、国による支援は待ったなしです。

 

 小池氏は、公演中止や無観客興行に応じたアーティストたちは「多大な犠牲を払って感染拡大防止に巨大な社会的貢献をした」と指摘。「その損失補てんは政治の責任だ」と主張し、支援事業の実態についてただしました。

 

 小池 文化芸術活動に対する継続支援事業の予算規模と支援の実施状況の説明を。

 文科相 第2次補正予算で約509億円を計上し、文化芸術活動については9月30日で第3次申請の期間を終了し、約5万4000件の申請があり、10月30日時点で2万7885件、計124億8058万円の交付を決定しております。

 小池 申請の半分しか採択されていないのはなぜですか。

 文科相 本当に申し訳なく思っていますが、文化芸術活動で個人向けを含む大規模な補助事業を実施したことがなく、申請内容の円滑な確認に課題がありました。今後は迅速な審査を図ってまいりたいと思っています。

 

 民間の寄付金で文化芸術活動を支援する「文化芸術復興創造基金」が5月に創設されたものの、支援事業がいまだ始まっていない実態を追及しました。

 

 小池 文化芸術復興創造基金がつくられたが、募金はどれぐらい集まり、すでに支援活動をやっていますか。

 文科相 民間の寄付は5日時点で約711万円。(支援活動は)まだ始まっていません。

 

文化芸術活動の支援は民間頼みとせず国庫で「文化芸術復興基金」の創設を

 

 小池 1000万円集まらないと始まらない(仕組みだ)。半年たって1000万円を集められないんですか。ある民間美術館は4時間で500万円をクラウドファンディング(インターネットを利用した募金)で集めていますよ。ちょっと情けなさ過ぎます。民間に頼っているからです。

 

 小池氏は、自民党を含む超党派の「文化芸術振興議連」が、民間の寄付とともに国庫から1000億円を支出して、「文化芸術復興基金をつくろう」と提案していると述べ、「文化芸術の灯を消さないため国の責任が求められている」と迫りました。

 

 文科相 こういう(コロナ禍での)混乱の中でつくったため、募集状況は情けない状況だ。例の509億円で支援させてください。

 小池 それでは文化芸術に対する姿勢が問われると思います。文化芸術は国の宝じゃないですか。ヨーロッパでは“これは生命維持装置だ、ぜいたくじゃない”と全面的支援していますよ。

 首相 必要な支援が速やかに行き渡るように努め、文化芸術を盛り上げていきたい。

 

選択的夫婦別姓の導入求める

小池 政府にどんな意見が

男女共同参画担当相 反対意見はない

小池 人権の問題として導入に踏み切るべきだ

 

 小池氏は、政府の第5次男女共同参画基本計画の策定に向けた意見募集で、選択的夫婦別姓導入についてどのような意見が寄せられているか問いました。

 

 橋本聖子男女共同参画担当相 第5次男女共同参画基本計画策定にあたり行った意見募集においては、5600件以上、1700ページに及ぶ意見が寄せられました。その中で、選択的夫婦別氏(別姓)制度の導入を求める意見が多数寄せられた一方で、反対の意見はありませんでした。具体的な意見としては、改姓により論文などの研究実績のキャリアが引き継がれないこと。通称では二つの姓の使い分けが必要であり、本人、企業にコストが掛かることなど女性活躍の妨げになっている。改姓を避けるために結婚を諦めることや結婚を先延ばしにすること。事実婚を選択すると子どもを持ちづらいことなど、少子化の一因となっているという意見が寄せられました。

 小池 全てが賛成の意見だったと。反対の意見はなかったという。法律で夫婦に同姓を強いているのは世界で日本しかありません。日本の制度は、言ってみれば「強制的夫婦同姓制度」です。やはり変えるときではないですか。

 

 小池氏は、橋本担当相が記者会見で、選択的夫婦別姓について「前向きに検討することは、非常に前進していくと感じていただける」と述べたことを紹介し、次のように求めました。

 

 小池 この問題で悩んでいる女性たちに希望を与える前向きの答弁、ぜひこの場でしていただきたい。いかがですか。

 担当相 選択的夫婦別氏制度については、これから結婚して家庭を築いていく若い世代の人たちをはじめとして導入を求める意見が多数寄せられていたと、これは重要だと思います。世代の意見をしっかりと聞き、困っている方にしっかりとした対応をするというのもわが国において重要なことだと私は考えております。国民の皆様の声をしっかりと反映できるように、基本計画の取りまとめに向けた議論を着実に進めたい。

 

 担当相の答弁に、議場の野党席から、「そうだ」「一番いい答弁だ」との声がかかりました。小池氏は、「人権の問題として考えるべきだ」と訴えたうえで、1996年に法制審議会が、▽選択的夫婦別姓導入▽女性の婚姻適齢の引き上げ▽女性の再婚禁止期間の短縮▽婚外子への差別禁止―を柱とする民法改正を答申したと指摘しました。

 

 小池 四つのうち三つは全て実現しました。残るは選択的夫婦別姓のみです。法制審の答申から24年、いよいよ導入に踏み切るべきときではありませんか。

 上川陽子法相 選択的夫婦別氏制度の導入の問題は、わが国の家族の在り方に深く関わる事柄であると考えています。直近での世論調査(2017年)ですが、選択的夫婦別氏制度の導入について、容認が42・5%、旧姓・通称使用の法制化のみの容認が24・4%、反対が29・3%となっています。若い世代の皆さんの容認は非常に高くなっているのも事実です。他方で、国民の間には意見が分かれているという状況にあるのも事実です。家族形態の変化やライフスタイルの多様化、さらには女性の社会進出、これらの社会情勢に十分配慮する必要があることも確かです。国会における議論の動向も注視しながら対応を検討していきたい。

 

小池 法相も総理もかつて導入に賛同してきた

法相 個人としてはその通り

首相 政治家として言った責任はある

小池 言行一致させ、いまこそ党派をこえ実現させよう

 

 小池氏は、上川法相と菅首相が過去に夫婦別姓導入を求めていたと指摘し、早期の実現を求めました。

 

 小池 (上川)大臣は2001年11月に、自民党議員有志として党三役に申し入れた。内容は、「選択的夫婦別姓制度導入に向けた民法改正について早急かつ徹底した党内議論を進めること、速やかに今臨時国会に当該問題についての閣法が上程され審議に付されること」。それから、2008年1月の財団法人市川房枝記念会出版部発行の『女性展望』で、上川陽子さんが「私も選択的夫婦別姓については賛成で、そのために議員として活動してきました」と。政治家としての信念を聞かれて「言行一致」。こういう信念をお持ちである政治家であれば、法務大臣になったのならば、そのために全力を挙げると。言行一致でやりましょう。

 法相 私の個人として、政治家としてのこれまでの意見については、いまご紹介をしていただいたとおりです。この問題については、世論調査におきましても、その意見の幅が表れているというところも確かです。そうした動向も踏まえて検討にあたりたい。

 小池 総理もこの2001年の自民党有志議員の申し入れに名前を連ねていらっしゃることを覚えていらっしゃいますか。

 

 議場には、驚きの声があがるとともに大きな拍手が起き、「(別姓を)やろう」との声がかかりました。

 

 首相 確かそうだったと思います。

 小池 それだけではない。2006年3月14日の読売新聞。「自民党内で別姓導入に理解を示す菅義偉衆院議員は『例外制でもダメならもう無理という雰囲気になってしまった。しかし、不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だ』と話す」。別姓導入を求めてきた方が総理になり法務大臣になった。政治の責任を言行一致で果たすべきときではありませんか。

 首相 夫婦の氏の問題は、わが国の家族のあり方に深く関わる事柄であり、国民の間にさまざまな意見があり、政府として、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら対応を検討していきたいと思います。

 ただ、私は、政治家としてそうしたことを申し上げてきたことには責任があると思います。

 小池 野党は選択的夫婦別姓導入の法案を出し続けています。党派を超えて実現しましょう。

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