赤旗2020年10月29日付
日本共産党の小池晃書記局長は27日、BSフジの番組「プライムニュース」に出演し、臨時国会での菅義偉首相の所信表明演説(26日)を受け、菅政権の「原発推進」や日本学術会議への人事介入の問題などを批判しました。臨時国会では核兵器禁止条約への批准など「この国の進路にかかわる大きな議論を行いたい」と表明しました。
原発推進批判
小池氏は、所信表明演説で菅首相が「2050年までの温室効果ガスゼロ」との目標を掲げたことに対し、「現在新設を計画あるいは建設中の石炭火力は17基あり、目標と矛盾している。石炭火力も停止・廃止すると言うべきだ」と指摘しました。
さらに27日、自民党の世耕弘成参院幹事長が会見で「原発新設の検討も重要だ」と述べたことに対し、「福島の苦しみを見れば、国民が原発の再稼働や新設を受け入れることなど絶対にできない」と批判。「原発のコストが上がり続ける一方で、太陽光、風力発電のコストは原発の4分の1に減っている。再生可能エネルギーは『現実的でない』との発想は全く古い。経済同友会も再生可能エネルギーは『40%』へ引き上げるべきだとしており、再生可能エネルギーに本格的に取り組むべきだ」と述べました。立憲民主党の福山哲郎幹事長も「小池さんが言われたことは非常に重要で、(原発推進を改めるのか)ターニングポイントだ」と応じました。
学術会議介入
小池氏は所信表明演説の中で「国民が一番疑問に思っている日本学術会議の問題に一切触れなかった」と批判。同日に加藤勝信官房長官が会見で、2004年の政府文書での「首相が(任命を)拒否することは想定されていない」との記述は「当時の認識」であって将来の任命拒否を「排除するもの」ではなく、「内閣の姿勢は一貫している」と述べたことに対し、「37年間、推薦に基づく形式的任命を行い、それを菅首相が覆したからこそ、学術会議の事務局長が国会で任命拒否を知って『驚愕(きょうがく)した』と答弁した。『内閣の姿勢は変わっていない』というのは無理がある」と厳しく批判しました。
さらに、菅首相が26日のNHK番組で任命拒否の理由について「大学が偏っている」「若手が少ない」などと述べたと紹介し、「新たな基準まで持ち出した。法律に書かれていないことを基準とすること自体、法律違反だ」と批判し、「国会での首相答弁を時の首相や官邸が勝手に変えるなら“独裁国家”だ。一部の学者の問題ではなく、この国の民主主義に関わる問題であり、すべての国民にとって権利が脅かされる危険な流れだ」と強調しました。
小池氏は、総選挙に向け、「社会保障を切り詰める新自由主義的な社会像ではなく、『原発から再生エネへ』など、野党がまとまって新たな国家像を示す。野党の決意と覚悟と、政権構想が重要だ」と訴えました。
最後に、臨時国会で「大きな議論を」と提言した小池氏。「核兵器禁止条約の発効が確定したが、『条約に署名しない』と門前払いの姿勢では、結局は核兵器保有国の“お先棒担ぎ”ではないか。未来に向けた議論を堂々とやっていきたい」と語りました。