赤旗2020年9月11日付
要介護者が介護保険でサービスを受ける権利を脅かしかねない制度改変が、国会審議の必要がない「厚生労働省令改正」で実施されようとしていることが10日、明らかになりました。日本共産党の小池晃書記局長が厚労省から聞き取り、判明しました。
「省令改正」で狙われているのは、現在要支援者向けに市町村が実施している「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象を、要介護者まで拡大すること。実行されれば、要介護者も「自治体の判断」で、ホームヘルプ(生活援助)やデイサービスなどの保険給付をやめ、サービスの基準を緩めた「緩和サービス」や、専門の介護職によらない「住民主体の支援」などへの置き換えが可能となります。
同省担当者は「対象は要介護1から5の全体」と明言。「改正案」を23日まで意見公募にかけ、実行に移す方針です。
同省は、サービス変更は「本人の希望」が前提としますが、2014年の法改定で保険給付から総合事業にサービスが置き換えられた要支援者のなかでは、自治体が「本人の合意」を強引にとりつけ、サービスを後退させる事態が各地で起きています。
小池氏は同省への聞き取りで、財務省の財政制度等審議会などで社会保障費抑制のため要介護者の生活援助を保険給付から総合事業に移す提言がたびたび出されているとし、今回の「省令改正」がさらなる改悪の突破口になりかねないと指摘。要介護者の受給権にかかわる重大な改定を省令変更で行うなど認められないとし、「制度改定の作業はいったん止めて、国会に諮るべきだ」と求めました。