赤旗2020年5月23日付
日本共産党の小池晃書記局長は21日夜放送のBS―TBSの番組「報道1930」に出演し、東京高検の黒川弘務検事長の辞任、新型コロナウイルスをめぐる今後の医療体制や検査体制について政治家や専門家らと議論しました。
小池氏は黒川氏の「賭けマージャン」は「許しがたい」とする一方で、「黒川氏の問題だけにしてはいけない」と強調。「(安倍政権は)国家公務員法の定年延長規定を検察官にも適用するように勝手に解釈を変えて黒川氏の定年延長を閣議決定した。『余人をもって代えがたい』という理由で定年延長した人物が緊急事態宣言の下で賭けマージャンをしていたのだから、閣議決定が間違いだったのは明らかだ」と指摘。「国政をゆるがす原因をつくった森雅子法相と安倍晋三首相の責任は極めて重大だ」と強調しました。
小池氏は、検察庁法改定案について、これまで定年延長を認めたのは黒川氏だけだったと政府も認めているとして、「黒川氏が辞職すれば、立法事実がなくなる。野党が要求しているように検察幹部の特例的な定年延長の規定は撤廃するべきだ」と主張しました。
違法な閣議決定
番組では黒川氏の辞任について、稲田伸夫検事総長の管理責任も問われ、黒川氏の後任の人事が不透明になったとして、検察関係者から「再び内閣が検事総長の人事に手を出してくる余地ができてしまった」という危惧があることを紹介。
小池氏は「河井前法相夫妻の疑惑」や、「桜を見る会」前夜祭での弁護士ら662人の告発があるもとで、「黒川氏の辞任を逆に利用して官邸が検事総長人事に介入してくるのは許せない」と批判。「今回の事態について、最大の責任は違法な閣議決定で黒川氏の定年を延長した安倍首相にある」と指摘しました。
コメンテーターの堤伸輔『フォーサイト』元編集長は、過去に黒川氏を法務事務次官に据えるために官邸が関与してきたことなどをあげ、「稲田検事総長の管理責任を言うならば、それ以上に強い責任を負うべきは官邸だ」と主張しました。
兆単位で支えよ
新型コロナウイルスの問題について小池氏は、20日の参院予算委員会の参考人質疑で、参考人として出席した政府の諮問委員会の尾身茂会長が「見えない感染が続いている」と発言していることを取り上げ、「問題はこの時期に検査と医療体制をどれだけ本気でつくっていけるかだ」と主張しました。
白鴎大の岡田晴恵教授は「秋冬に向けて本格的な(感染の)流行が起きる可能性がある。小池さんが言うように検査体制をこの時期に確立しないと何カ月間も自粛することになる」と述べました。
小池氏は、「今日本は世界から見ると異様に検査が少ない国だと思われている」と指摘。日本医師会の報告書で、今までPCR検査が進まなかった最大の理由は「それらの対策に財源が全く投入されていないため」とされていることを示し、2次補正予算で、PCR検査センターを全国津々浦々につくるなど、検査体制の抜本的拡充を求めました。
さらに小池氏は医療体制の問題について言及。「全国の大学病院は年間で5000億円の赤字が出ると言われている。コロナの患者の21%を大学病院は受け入れているが、4月は1万3000件に近い手術が減ったと報告されている」として、医療崩壊の危機を指摘。「医療と検査の体制に財政を兆単位で投入し、しっかり支えていくことが重要だ」と発言しました。