日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

参考人 検査・医療強化必要 小池氏 「財政支援ケタ違いに」

2020年05月21日

赤旗2020年5月21日付

衆・参 参考人質疑

 

 衆参予算委員会は20日、政府の諮問委員会の尾身茂会長、専門家会議の脇田隆字座長らを参考人として招き、新型コロナウイルス感染症対策について意見を聴取しました。日本共産党からは小池晃書記局長、塩川鉄也衆院議員がそれぞれ質疑に立ちました。(塩川氏質疑)


写真

(写真)参考人に質問する小池晃書記局長(右)=20日、参院予算委

 

 小池氏は、PCR検査体制について「これから起こり得る次の感染拡大を考えた場合、現在のPCR検査体制で十分と考えているか。足りないなら、増やしていくためにカギを握っている課題は何か」と質問。尾身氏は「検査体制の強化は必要だ」と述べた上で、検査は地域で実施するものであり、各県に検査体制の把握を求めてきたとして、「今後、PCR体制をモニターして、陽性率が上がれば、検査数が少ないことの指標であり、上げてもらう必要がある」と語りました。

 

 これに対して小池氏は、県で検査の中心を担っている地方衛生研究所について、10年前、新型インフルエンザ流行後にだされた総括会議報告書で、「とりわけ地方衛生研究所のPCRを含めた検査体制について強化するとともに、法的位置づけについて検討が必要」と結論づけたことに触れ、「なぜこの総括が生かされなかったか」と尋ねました。尾身氏は「政治家の皆さんを前に難しいが」と言いよどみつつ、「政治家が、いままで以上にやっていただくことが必要だ」と述べました。

 

 また小池氏は、新規感染者や入院患者が減っている今こそ医療体制の強化が必要だと指摘。尾身氏は、病院での余裕をもったベッドの確保や、発熱外来の充実、高齢者施設などでの院内感染を防ぐための感染防護具の供給など、財政支援が必要だと述べました。

 

 その上で小池氏は、医療関係3団体の調査で、4月の医業利益が前年比16%減で、1病院平均1億2000万円超の赤字だとして、日本医師会の横倉義武会長が2次補正予算では7・5兆円の予算確保を求めていると紹介。「医療機関がばたばたと倒れることは絶対にあってはならない。2次補正では、ケタ違いの医療機関と検査体制に対する財政支援が必要ではないか」と聞きました。尾身氏は「おっしゃるように、感染ではなく、医療経済のために崩壊することは絶対に避けなくてはいけない」と話しました。

 

 最後に小池氏は、新型コロナ危機のさなかに米中が対立している問題を指摘。これまで米ソ対決の時代でもポリオや天然痘の対策で国際社会が協力してきたと述べ、「パンデミック(世界的流行)の収束のための米中の協調、その中での日本の役割についての意見を」と求めました。かつてWHO(世界保健機関)地域事務局長を務めた尾身氏は、「WHOは加盟国同士が政治的な対立があっても、ヘルスの分野では中立を守ってきた。米中や日本はいろいろ貢献できる。政治的な利害はおいて、ヘルスのためにみんなが団結する。日本政府にはそのためのリーダーシップをお願いしたい」と答えました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 新規感染者数が減少しつつあります。国民の皆さんが、本当に大変な中、感染拡大防止に協力をし、そして医療従事者が本当に献身的に奮闘したたまものではないかと思いますが、やはりそうした努力に応えた政治の責任を果たさなければならないし、今の時期こそ医療や検査や補償の体制をつくることが何よりも大切だという立場で質問したいと思います。
 尾身参考人にPCR検査体制についてお聞きしたいんですが、専門家会議は、次なる感染者数の拡大にもきちんと備えられるようにしておくための検査システムの確立を言われております。そして、PCR検査件数を一定数以上担保されていることを求めています。
 先ほどもちょっと議論あったんですが、要するに尾身参考人は、現時点でこれからのその感染を考えた場合に、PCRの検査体制は十分だというふうにお考えなんでしょうか。そうではないのであれば、じゃ、それを増やしていくために今最も鍵を握っているのは、課題は何なのか、教えてください。
○参考人(尾身茂君) 私は、先ほど申し上げましたように、検査体制の強化は必要だと思います。
 何がブロックかと。まあ検査体制がなかなか進まなかった理由については、私ども前あれしましたけど、様々な理由が、ベッドがないということと、あと保健所機能、あるいは検査に行くまでのプロセスが、今まではいわゆる公的なルート、帰国者外来、帰国者センターで、やっとここに来て医師会なんかの協力でこっちのコロナ外来ということができ、まあ様々な要因があるんですけど。
 やっぱり一番大事なのは、これは地域でやるので、国のサポートも必要ですけど、県の中で実は会議体というものをつくってPCRの検査体制を把握してもらいたいということを前から申し上げて、検査の体制は県、全ての県でできたと思う、会議体。それをこれからもしっかりとPCRの体制をモニターして、まあどんどんパーセントが上がるということは、陽性率が上がるということは検査数が少ないことの指標ですから、もしそうなった場合にはもっと上げてもらうということが必要だと思います。
○小池晃君 その県の体制ということについて関連して、先日の記者会見で尾身参考人は、一つの要因として、地方衛生研究所のやはりその歴史的な、検査能力がなかなか伸びていないというか、問題があるということを掲げて、挙げられました。
 しかし、この問題は十年前の新型インフルエンザ対策総括会議の報告書で既にこういうふうに指摘されているんですね。とりわけ、地方衛生研究所のPCRを含めた検査体制について強化するとともに、地方衛生研究所の法的位置付けについて検討が必要であると。なぜこの十年前の総括が生かされなかったんでしょうか。
○参考人(尾身茂君) それは、私どもそのことはよく知っていまして、これについては、そこはまあ政治家の先生の前で申し上げるのはなかなか難しいですが、やはりこれは国民から選ばれた政治家の先生たちが今まで以上にしっかりやっていただくことが必要だと思います。
○小池晃君 こういうふうに、やはり報告書で言っていたのが十年間放置されてきたというのは、やっぱりこれはもうおっしゃるとおり政治の責任だと私思うんですね。
 検査と並んで、やはり次なる課題は、やっぱり医療体制の強化、今の時期こそ医療体制の強化に全力を挙げなければいけないというふうに思うんですが、尾身参考人、今後の感染拡大を想定した場合に、今の時点での確保している入院体制、あるいは軽症者や無症候者の宿泊療養施設で十分だとお考えか、今後のことを考えた場合にですね、その場合、急いで強化する、すべきポイントはどこか、教えていただけますでしょうか。
○参考人(尾身茂君) 宿泊施設あるいはベッドの方は、今のまま、皆さんの努力のおかげで下がってきたので、ある程度飽和状態ということはない、東京都でもそうなっていますけど、これからまた感染が拡大する可能性があるという意味では、もう少し余裕を持ってベッド等、あるいは発熱外来ですね、そういうもの。
 あともう一つは、クラスター感染ということを申し上げましたけれども、高齢者施設とか院内感染が結構多く報告されているので、これに対する対策というもの、例えば感染防具の供給とかそういうものも、これは都道府県というよりも国の方がしっかりと財政的支援を含めてやっていただければと思います。
○小池晃君 その財政支援の問題なんですけれども、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の三団体の調査では、四月の医業利益はマイナス一六%、一病院当たり平均で一億二千万円を超える赤字だと。コロナを受け入れている病院も大変ですけれども、受け入れていない病院でも患者数が激減をして、四月大変なことになっておりますし、こういうコロナの危機の中で医療機関がばたばた倒れるようなことは絶対に防がなければいけないと思うんですね。
 日本医師会の横倉義武会長は、全国医学部長病院長会議とともに、第二次補正予算では七兆五千億円の確保を求められました。一次補正は医療機関支援、僅か千四百九十億円なんですね。尾身参考人、二次補正予算では、やはり桁違いの医療機関、医療体制、検査体制に対する財政支援、財政措置が必要だと思いますが、この点での御意見をお聞かせください。
○参考人(尾身茂君) 私、予算額が幾らかというのはちょっと専門じゃないので分かりませんが、私自身も今JCHOの理事長をしておりまして、そういう中で医療機関が、国はこれはどこの、我々のJCHOだけじゃなくて一般の医療機関もそうですけれども、国あるいは都道府県の要請を受けて感染者を受け入れているわけで、そのために医療の今の成績が私どもも非常に悪くなっています。
 そういう中で、先生おっしゃるように、このことで、感染じゃなくて医療経済のために崩壊するということは絶対避けなくちゃいけないので、この点も政府のリーダーシップを是非お願いしたいと思います。
○小池晃君 竹森参考人にお伺いします。
 経済界の皆さんが検査をやるべきだと声をそろえていることに注目をしております。安心して消費者が消費するためにも、企業が安心して投資をするためにも検査が必要だと。医療上の必要性だけではなくて、経済的な合理性からも検査の抜本的強化が必要だというふうに主張されていることに大変注目をしているんですが、その思いというか趣旨というか、なぜそういう主張をされているのか、お話しいただけますでしょうか。
○参考人(竹森俊平君) 一番最初に申し上げたとおりに、今全部の国民のアクティビティーを抑えなきゃいけないというのは、普通の国民と感染者とのボーダー、グレーゾーンというのがあって、そこでどちらか選べれば、感染者だけピックアップできれば全体のアクティビティーを下げないで済むということなんですけれども、ただ、それは理論的にはそうなんですけど、実際にどうするかということで、先ほど申しましたように、国民全部をPCR検査に掛けられれば、しかもそれを二週間でとかできればまあいいと。
 だけど、それをやっている国はどこにもない、すぐ実現できそうな国もいないということで、PCRでともかくここにありそうだというところにつぎ込んで、それで少なくともこの感染者数を減らしていくことが必要だということで、この間も書いて、これからアプリのトラッキングとか使えば、それがどこを狙えば感染者がいるかというのを、だんだんその推理力が出てくると。ともかくピックアップして、それを感染する、を隔離すれば、その全体のアクティビティーを下げる必要は下がってくるということは確かだということで申し上げました。
○小池晃君 その点でいうと、このコロナの特徴としては、無症候感染者が多い、軽症者が多いということでいうと、かなり要するに、今までのようなもう入院直前になるまでというんじゃなくて、もう検査の対象を大きく広げるべきだというのが経済界のかなり共通した思いだというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○参考人(竹森俊平君) 私はそのように理解しています。ともかく、こういうアクティビティーを下げるという、自粛というのはできるだけ早く解除してもらいたい。幸い、取りあえず、これはもう古典的な、つまりこの社会的隔離というのはどんなとき、例えば一九七六年のエボラのときもアフリカの部族がみんな協力して隔離をやった。そういうことをやって取りあえず下がってきて、もう一回爆発することはやめようということで、もうここから先は科学技術を全部投入して、ともかく早く終息するということを目指していきたいということだと思います。
 経済界の希望もそれであったと思いますので、それ、全くその政府の考えと違いはないと私は考えています。
○小池晃君 私も全く同感であります。
 国立感染症研究所の所長でもある脇田参考人にお伺いをしたいんですが、感染研は多数の感染症の専門家がいます。疫学センターもあります。国の唯一の感染症の研究機関として期待も大きいわけですね。これまで経験のないような課題に直面する中で、大変な御苦労もあるかと思いますし、予算や人員を削減されてきたという困難もあるかと思います。しかし、感染研のやっぱり長年の実績と持っている能力、貴重な専門家の知見を生かして、やっぱり文字どおり全所体制で研究、検査に力を注ぐ、もっともっと大きな役割を果たせるのではないかなと。
 これ、期待も込めてですが、感染研の今後の課題は一体何か、予算や人員の強化の必要性も含めてお話しいただければと思います。
○参考人(脇田隆字君) ありがとうございます。お答えいたします。
 感染症研究所は、このような新型の感染症の流行に対しての研究だけを行っているわけではなくて、あらゆる国内にある感染症に関する研究、そして検査、サーベイランス、そしてもう一つ大きな役割としてはワクチンの国家検定というものを担っております。ですから、現在、緊急事態宣言の下では、まず第一に全所を挙げて新型コロナウイルス関連の業務を行うということ、それから、ワクチンの供給が止まらないように検定業務を行うということで現在進めさせていただいております。
 感染研の元々の成り立ちといいますのは、基本的には病原体のラボの集まりのような形なんですね。ですから、私は元々肝炎ウイルスの研究者ですけれども、それ以外にも日本脳炎の専門家とかデング熱の専門家とか、あるいは麻疹、風疹の専門家の集まりといったような形になっています。逆に言いますと、その公衆衛生の専門家、疫学センターはもちろんありますけれども、その感染研のごく一部門でしかないというところなんですね。ただし、こういった新しい感染症の流行においては、そういった疫学センターの力というのは非常に大きい、求められるところも大きい。
 それから、FETPというのがございまして、実地疫学の専門家の研修コースですね。これが日本では年間十名の研修生が来ています。これは、韓国の場合であれば年間百名の研修生がいて、そのFETPは今回の新型コロナウイルスに対する封じ込めにも非常に活躍をしているというふうに聞いています。
 ですから、やはり今後のこういった新興・再興感染症の流行に対しては、そういった疫学の、公衆衛生の専門家の育成というのが非常に重要であって、感染研においてもそういった専門家の集団というのを育成していく必要があるというふうに考えています。
○小池晃君 是非、全所挙げての取組を強くお願いしたいというふうに思います。
 最後になるかと思いますが、WHOの西太平洋地域事務局長も務められた尾身参考人に、感染症に対する国際協力の問題をお聞きしたいんですが。
 今アメリカは自国第一主義ということで、パンデミック乗り越える国際的な協力に背を向けております。WHOの対応については、これは今後検証が必要な問題多々あると私は思いますが、しかし拠出金を停止するという振る舞いは、これは愚かではないかなと。一方で、中国は、この初動の遅れというのは、明らかに人権の欠如という体制の問題点と結び付いたものだったと思うんですね。そういう中で、今、米中の対立ということになっている。
 かつての感染症の歴史を見れば、天然痘でもあるいはポリオでも米ソが協力したという歴史もありますし、近いところでは、アメリカのオバマ政権はエボラ出血熱の克服のために国際的な協力のイニシアチブを取りました。私は、しかし、今こういう国際的な協調ができていないというのは非常に深刻ではないかなと思うんですね。
 政治的な問題というよりは、感染症に対する国際協力の在り方として、やっぱりパンデミックの終息のための米中の協調、その中での日本の役割、WHOの事務局長も務めた役割として、尾身参考人の御意見をお聞かせください。
○参考人(尾身茂君) WHOは、本来、いろんな加盟国同士が政治的な対立があっても、このヘルスの分野では中立を守るということで、一九四九年以来ずっとやってきた組織です。私どもがいたときのSARSのときもいろんなことがあったけれども、これは今のような米中のバトルはございませんでした。
 そういう中で、私は、率直に申し上げますと、アメリカが今拠出金を云々、それから中国も、まあ少し初期の対応が悪かったところは、私はそう思います。したがって、そういう中で、私は、日本が、これから国内の問題も大変でしょうけれども、このWHOを通して、あるいはこの二国間の、米中の、それが終わって、またこれから日本がいろいろ貢献できる部分もあると思いますので、いろんな、政治的ないろんな損得、利害は当然外交上ありますよね。だけど、それはおいて、このヘルスのためにみんなが団結する、一致する、その後で日本がリーダーシップを取る。今言葉求められたので、是非日本政府にはそちらの方面での協力、リーダーシップをよろしくお願いしたいと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。終わります。

閉じる

ご意見・ご要望