赤旗2020年5月8日付
日本共産党の小池晃書記局長は6日夜放送のBS―TBSの番組「報道1930」に出演し、新型コロナウイルスの感染の有無を判定するPCR検査件数が少ないために、正確な感染の実態を把握できていないと指摘し、検査の大量実施を国の責任で行うよう求めました。
小池氏は各国が新型コロナウイルス対策の「出口戦略」を立てる中で、日本はその根拠となる感染者数を把握するためのPCR検査が少ないことを指摘。日本と比べて(人口比で)イタリア17倍、アメリカ9倍、韓国6・4倍、フランス5倍など、検査数の差を示しながら「各国は手探りであるがエビデンス(根拠)は持っている」と強調。「日本は(検査を)2万件行うと言いながらそれに全く達していない。感染がどこまで広がっているかをつかむことができていないなかで、『出口戦略』など立てようがない。急いで検査数を増やすべきだ」と強調しました。
国立大学全体で検査行えば大きな力
積極的に新型コロナウイルスの患者を受け入れている東京医科歯科大学の取り組みなどが紹介され医療体制について議論に。小池氏は山梨大学の島田眞路学長の「いますぐ国立大学は蜂起すべきだ」という発言を紹介し、検査能力のある国立大学が一気に検査を行うことが検査数を大幅に増やすことにつながると主張。「大学病院は、スタッフも多いし、検体採取から判定までを大学内で自己完結的に行えるため一貫した仕事ができる。国立大学全体が検査体制を作れば大きな力を発揮できる」と話しました。
「国の財政支援がなければ持ちこたえられず」
また、小池氏は東京医科歯科大学の田中雄二郎学長に「献身的に頑張られているが、毎月12億円の赤字だと聞く。財政的な面も含めて今の頑張りはどのくらいまで続けられるのか」と質問。
田中氏は「財政面は国の支援がないとできない。(人員的にも)頑張ったとしても今年度いっぱい持ちこたえられるか」と答えました。
唾液検査や全自動機械の活用を
番組では、従来の鼻や喉の粘膜から検体を採取する検査よりも、医療従事者への感染リスクが低い唾液での検査が注目されていることを紹介。臨床実験を進める北海道大学病院の豊嶋(てしま)崇徳教授は「(唾液での検査が可能になれば)非常に物事が簡便になる」と話しました。
小池氏は「総理はPCR検査が目詰まりを起こしていると言っている。保健所を介さない仕組みをスタートした今、最大の目詰まりは検体採取だ。唾液検査の有効性はイェール大学(アメリカ)でも香港でもイタリアでも報告がある。もし唾液検査ができるようになれば最大の目詰まりの解消につながる」と語りました。
豊嶋氏は「(新たな検査の)準備はしたが今度ネックになるのは試薬が足らなくなること」と発言。小池氏はPCR検査では、患者の検体からRNA(リボ核酸)を抽出する非常に繊細な作業が伴い、一連の作業には試薬が不可欠だと説明。「いま全自動の機械も出てきている。実はこれはロシュ(スイスの製薬会社)が発売しているが日本の企業が製造したもの。しかし日本は活用できていない。日本全国にある35台をフル稼働すれば1日7万件以上の検体処理ができるといわれている」と紹介。「厚労省が旗を振って、一定の正確性が保障されたものはどんどん認めていくべきだ」と主張しました。
医師が必要と判断すれば検査受けられるように
最後に、視聴者からPCR検査を受ける際の「37・5度以上」の発熱の目安が見直されることについて質問が届きました。
小池氏は加藤勝信厚労相が37・5度の基準にかえて、「高熱」を検査の基準にすると報道されていることをあげ、「そもそもコロナは4割の人は発熱しないと言われている」と指摘。「発熱を絶対的な条件にするべきではない。医師が必要だと判断すれば検査を受けられるというシンプルなものにするべきだ」と主張しました。