赤旗2020年5月1日付
参院予算委 小池書記局長が主張
日本共産党の小池晃書記局長は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症の危機の中で打撃を受けている学生、病院、中小自営業者やフリーランスの実態を示し、学業や経営、暮らしを継続できる補償へと抜本的に切り替えるよう迫りました。安倍晋三首相は、従来の対応策を繰り返すばかり。小池氏は「目の前の危機を乗り越えるために党派を超えて知恵を出すべきだ」と述べ、緊急対応を重ねて求めました。(関連)
コロナ危機の中で、退学を検討している学生が5人に1人、2割に上るとの「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査結果が発表されています。
小池氏は、授業料減額などを求める学生の声に大学も応えようと努力している一方で、補正予算案ではコロナの影響で家計が急変した学生への授業料減免はわずか7億円しかないと指摘。文科省は対象が全国で2300人と認めました。小池氏は、「学生1600人あたり1人しか減免されない。日本の未来を担う学生に勉学をあきらめさせるようでは、いったい何のために政治はあるのか」とただしました。
萩生田光一文科相は「今回の補正予算案が必ずしも十分だとは考えていない」と答弁。小池氏は「不十分だと認めるなら、ただちに財政措置をとるべきだ」と指摘しました。
コロナ感染拡大防止に全力をあげている病院にも、大きな負担がのしかかっています。小池氏は、政府が今の10倍、20倍の感染入院患者の増加を想定しながら、わずか1490億円の緊急包括支援交付金で対応しようとしているとして、「日本の医療機関がコロナの治療に安心して取り組めると思うか」と批判。全日本病院協会など四病院団体協議会と日本医師会が、医療機関が経営破たんしないよう、災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めるよう求める要望書を提出していることをあげ、「日本の医療機関を守るため、最低限の要望をしっかり受け止めるべきだ」と主張しました。
これに対し、加藤勝信厚労相は「難しいと思う」などと答弁。安倍首相も「災害時の対応とは違う」などと難色を示したため、小池氏は「災害時以上の困難が生まれている。病院の倒産を防ぐための党派を超えた医療関係者が上げた声に耳を貸すべきだ」と重ねて検討を求めました。
さらに、小池氏は、中小事業者やフリーランスへの持続化給付金の支給条件に、政府が「売り上げ半減」との“線引き”をしている点について「売り上げが3割減、4割減でも深刻だ。困っている人の中に、国が『線引き』して、分断を持ち込むことは絶対にやってはならない」と批判。一方で、補正予算案では、大企業に返済不要の資金援助を行うファンドの創設を盛り込んでいるとして、「優先順位がめちゃくちゃだ。こんなやり方が理解されると思うか」とただしました。
梶山弘志経産相は、持続化給付金に5割の線引きをした根拠についてまともに答えられず、安倍首相は「予算規模との見合いだ」「どこかで線を引かなければいけない」などと答弁。小池氏は「内部留保がある大企業支援ではなく、苦境にあえぐ学生、医療、中小企業、フリーランス、文化芸術の支援に使うのが政治の責任だ」と強調しました。