赤旗2020年4月17日付
小池書記局長が求める
新型コロナウイルス感染症の治療や検査などをするために不可欠な医療用高性能マスクN95。医療現場で深刻な枯渇が生じていますが、国は抜本的な改善策を示せていません。民間では通信大手のソフトバンクグループが独自にN95を調達し、1箱50枚入り2500円で医療機関などに販売案内を始めています。民間に比べても国の遅れが際立っています。(岡素晴)
微小な粒子を95%通さないとされているN95は、飛沫(ひまつ)による感染予防などに使われます。日本国内だけでなく、世界的に供給不足が起きています。
安倍晋三首相も11日、新型コロナウイルス感染症対策本部で、N95など医療現場に必要なマスクの確保について言及。「現在輸入が激減し、大変厳しい状況にある」と述べた上で、今月中に70万枚を配布すると明らかにしました。
しかし、全国には医療施設が約18万カ所あり、1医療機関あたりではわずかな供給にとどまります。
ソフトバンクグループは13日、中国のBYD社と提携し、BYD工場内にマスク製造ラインを確保したと発表。月あたりN95が1億枚、一般のサージカルマスクは2億枚の計3億枚生産が可能になるとしています。
製造されたマスクは5月以降、利益を出さない原価に近い水準で供給し、日本政府のマスクチームと連携しながら医療現場などに届けていくとしています。
ソフトバンクグループ広報室によると、「孫正義(社長兼会長)が独自に(マスク確保に)関連するアクションを起こし、BYD社から話をいただいてめどがついた」といいます。
他方、国の対応は例外的にN95の再利用を認めるという“苦肉の策”です。厚生労働省は10日、本来は使い捨てのN95について、滅菌処理などをして再利用するよう促す通知を都道府県などに出しました。
厚労省は本紙の取材に対し、国が本来、前面に出て医療物資の確保に動くべき責任を認める一方、供給ひっ迫の打開策については「検討中」と述べるにとどめました。
日本共産党の小池晃書記局長は15日、厚労省に対し、「民間企業がN95の販売案内を始めている。全部国が買い取って、ただちに医療機関に供給せよ」と申し入れました。