赤旗2020年4月8日付
衆参両院の議院運営委員会は7日、安倍晋三首相が同日夕に、新型コロナウイルス感染者急増に伴い緊急事態宣言を発令する事態となったことをうけ、安倍首相による報告と各党質疑を行いました。日本共産党から塩川鉄也衆院議員、小池晃書記局長(参院議員)が質問に立ち、緊急事態宣言の発令は、自粛要請に伴って生じる損失への補償を一体で行うことが必要だと求めました。
首相は「個別の損失を直接、補填(ほてん)することは現実的ではない」と繰り返すばかりで、改めて補償を拒否しました。
小池氏は、「『損失補償できない』という言葉を聞いて、どれだけの国民ががっかりしているか。国民に協力を要請するなら、それに見合う役割を果たすのが政治の責任だ」と怒りをぶつけました。
衆院議運委 塩川議員が質問
塩川氏は衆院議院運営委員会で、「感染防止のための自粛要請によって経済的損失を被る事業者等への補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものとなる」と迫りました。安倍首相は「個別の損失を直接補償することは現実的ではない」と直接補償を拒否しました。
「規模が大きいから困難なのか、個別の損失の直接補償そのものがだめなのか」とただした塩川氏。安倍首相は、さまざまな事業活動があることを理由に、「自粛を要請している方に限り補償することはバランスを欠く」と答弁しました。
塩川氏は、「密閉・密集・密接の『三つの密』の場所にしっかりと自粛を要請することで感染拡大防止対策の実効性が上がる」と強調。「感染拡大防止という公共の利益のために、営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をすることは国民の理解を得られる」と述べ、自粛要請と一体の補償を実施すべきだと求めました。
参院議運委 小池書記局長が追及
小池氏は参院議院運営委員会で、緊急事態宣言について政府は、理由、目的、実施する措置について十分に国民に説明すべきだと強調。「もちろん、基本的人権に対する制約は乱用を慎むべきだ」と表明しました。
安倍首相が直前の衆院議院運営委員会で「自粛要請に対する損失補償は困難」と繰り返したことについて小池氏は、「私たちはこれまで『自粛と補償はセット』だと求めてきた。それは今や党派を超えた声だ。緊急事態宣言を出す場合には、いよいよ損失補償が重要になる」と述べた上で、「命を守るための緊急事態宣言で、命や暮らしが脅かされることはあってはならない」と強調しました。
さらに、衆院での塩川議員の質問に「自粛要請をした業者に補償するだけで納入業者に補償しなければ不公平になる」と答弁した安倍首相に対し、「間違っている。自粛した業者に補償すれば、それは納入業者への支払いにも回る。自粛した業者が倒産を逃れれば納入業者も救われる」と反論しました。
安倍首相は、減収した事業者向けの最大200万円の給付制度の創設を盾に、「個別の損失を直接、補填することは現実的ではない」と繰り返しました。
小池氏は、「首相はこれを経済対策としか考えていないようだが、そうではなく、感染拡大を防止する対策だ。補償なき『緊急事態宣言』では、いくら休みたくても、働きに出なければならない市民がたくさんいる」と強調。「外出を控え、店を閉め、居酒屋やライブハウスなどにも営業休止を求めるなら、正規労働者も非正規も自営業者もフリーランスも等しく損失補償すべきだ」と迫りました。
首相は「全部補償しますといえば効くのは当然だ」と認めながら、「200万円出すなかでみんなで協力していこうというのが私たちの姿勢だ」と繰り返しました。