赤旗2020年3月27日付
日本共産党の小池晃書記局長は25日夜、BS―TBSの番組「報道1930」に出演し、新型コロナウイルス感染症対策や感染の拡大によって悪化した経済への対策について政治家や専門家らと議論しました。小池氏は「爆発的な感染になるかどうかの分かれ目で、非常に重大な局面にある」と強調し、感染拡大抑止と経済支援の両面で大胆な財政措置を求めました。
番組では、依然として感染者数が増え続けるなか、一方で国民の間に「解禁ムード」が広がっていたことに専門家から危惧する声があがっていると紹介。小池氏は19日に専門家会議が感染の爆発(オーバーシュート)の危険性に警鐘を鳴らしたのに、翌日(20日)には安倍晋三首相が一転して休校要請を新学期から段階的に解除する方針を示し、「もう心配しなくていいんだという気分を広げた」と指摘。「政府のメッセージの出し方や中身に問題があった」と述べました。
民間病院満床
小池氏は感染患者を受け入れる病院のベッド数について「東京都は(中等症の人向けに)ベッドを最大3300床確保する必要があるとして、その内3000床は民間病院で確保と言っている。だが民間病院はぎりぎりで常に満床状態だ」と実態を示しながら、財政措置を伴わない政府や自治体の対策には大きな欠陥があると批判。イベント自粛などについても「収入が断たれるので、『自粛』できないところもあると思う。経済対策としての支援も必要だが、感染を抑えるためにも財政投入することが必要だ」と求めました。
さらに小池氏は政府の説明ではPCR検査は8000件近くの能力があるといいながら、この1週間をみても検査件数は1日平均1300件あまりで、保険適用の検査は毎日30~50件程度にとどまっている実態を明らかにし、「いまの数字はあまりにも少なすぎる」と批判。3月6日から医療保険適用になったにもかかわらず検査件数が増えない原因については、患者負担を免除する手続きが進まず、大半が保健所経由の公的検査のままになっていると指摘。「一定の症状があって医師が必要だと判断すれば検査ができるという、当たり前の仕組みに急いで変えなければならない」と強調しました。
栃木県で開業する呼吸器内科の倉持仁医師は「症状があらわれない感染者が確実に増えている。今までの方針を変え、思い切った手段・方法が必要」と発言。医師が求めた患者には検査を徹底するとともに、院内感染を防ぐうえでも入院患者全員に当たり前に検査ができる体制をつくる必要があると見解を示しました。
政治の決断を
番組中に生中継された小池百合子都知事の会見が議論に。小池知事は会見で、平日に自宅で仕事をすることや週末に不要不急の外出を控えること、ライブハウスなどの「自粛」を呼びかけました。これを受けて小池氏は「東京でこれだけの自粛をすることの経済的インパクトは大きい。それに対して税金を使うのかと問われて(小池都知事は)税金を使うことは考えていないと発言した」と疑問を呈しました。「ただただ自粛を要請するだけでは無責任だ。これだけの宣言をするのであれば、急いで国と協議して、『自粛』に伴う損失は国と都が補償をするべきだ」と主張しました。また、海外との比較でイギリスを例に挙げ「イギリスは強いメッセージを送ると同時に収入の8割を補償することを政府が打ち出している。(日本も)ここは財政支援をおしまずきちんと示す政治の決断が必要だ」と訴えました。
自民党の国光あやの衆院議員は「いろんな支援の件は政府で受け止めて検討している。いままさに詰めているところ」などと述べました。
これに対して小池氏は「アメリカは、すでに220兆円規模の経済対策を決定した。ところが日本では、いまだに今年度予備費の残り2700億円規模の対策で、あまりに対応が遅すぎる」とただしました。