赤旗2020年1月22日付
小池書記局長が与野党と討論
BSフジ番組「プライムニュース」
日本共産党の小池晃書記局長は20日夜放送のBSフジ番組「プライムニュース」で、同日行われた安倍晋三首相の施政方針演説をめぐり自民党の下村博文選対委員長、公明党の斉藤鉄夫幹事長、立憲民主党の長妻昭代表代行、国民民主党の大塚耕平代表代行と議論を交わしました。
施政方針で安倍首相は、「7年間で13%成長」「来年度予算の税収は過去最高」「生産年齢人口は500万人減少する一方で、雇用は380万人増加」「最低賃金は史上初めて全国平均900円超」などの数字を羅列し、アベノミクスの“成果”をアピールしました。
アベノミクス欺まん
これに対し小池氏はそのごまかしを具体的に指摘。「『7年間で13%成長』というが、この7年間、名目成長率の目標は一度も達成したことはない。その結果、G7(主要7カ国)の中で日本の(国内総生産)成長率は(最下位の)7番目。IMF(国際通貨基金)の統計でみると、第2次安倍政権が発足した2012年は世界で136位だったが、いま(19年)は172位へ後退」と述べました。
また、「来年度の税収が過去最高」との主張に対しても、「法人税・所得税は約1兆2000億円減で、一方消費税は約2兆3000億円増。これは結局景気が悪くなっていることだ」と指摘。「雇用380万人増」の55%は非正規で、大半は生活苦のための学生のアルバイト、高齢者の再就職であり、実質賃金は安倍政権のもとで年間18万円減っていることを示しました。さらに、最低賃金は700円台が17県と格差が広がっていると告発し、「施政方針演説ではいまの経済がよくなっているのか、悪くなっているのか、その認識を一切国民に示さない。あまりにも無責任だ」と厳しく批判しました。
自民・下村氏は「小池さんが具体的にあげたマイナス的な要素の視点はある」と認め、「これから各党の代表質問、予算委員会も始まる。そのなかで虚心坦懐(たんかい)に議論すべきだ」などと述べました。
小池氏は安倍首相との論戦を振り返り、「アベノミクスがうまくいっている大前提で(答弁を)組み立て、しかも間違ったこともいっている。野党から指摘された問題を謙虚に受け止めない議論では国会としての議論にはならない」と述べ、正面から論戦に挑むよう求めました。
国民は改憲を望まず
安倍首相が施政方針で改憲論議を国会議員に呼びかけたことについて、下村氏は「安倍首相としては相当抑えたもの(演説)だ」と評価し、「ぜひ議論はしていただきたい」と促しました。
小池氏は、憲法尊重擁護義務を負う首相が国会に改憲を呼びかけること自体、言ってはならないことだと指摘。「為政者の権力行使を抑制するのが憲法。それを首相が憲法に自分の理想を込めて語るのはとんでもない。だいたいどんな世論調査でも改憲は国政の最優先課題にはなっていない」と反論しました。国民民主・大塚氏も「小池さんが言った点は強く感じている」と述べました。
カジノは立ち止まれ
安倍首相は、「桜を見る会」疑惑やカジノ汚職について施政方針でまったく触れませんでした。
安倍政権下で「桜を見る会」の招待者名簿が廃棄されてきたことについて、小池氏は「情報公開で請求されるから合法的に捨てられるようにしたと言われても仕方がない」と悪質な隠ぺいぶりを告発。カジノ法の強行の際、民間事業者の選定に関し「収賄等の不正行為を防止し、選定の公正性、透明性を確保する」との付帯決議が自民党も賛成して上げられたことを示し、「放置したら国会の責任が問われる。これだけ問題が出ているのだから、カジノ実施は立ち止まることを求めたい」と主張しました。立民・長妻氏も「カジノはやめさせたい」と語りました。
公明・斉藤氏が「カジノ管理委員会がどういう案をつくるか見守っている」と述べたことに対し、小池氏は「管理委員会事務局にはカジノ業者が入れる。利益相反だ。こんな管理委員会に(カジノを)ただすことはできない」と批判しました。