赤旗記事2019年11月14日付
小池氏「植民地支配の反省を」 川上氏「人権問題として解決」
日本共産党のインターネット番組「生放送!とことん共産党」は12日、「どうする?! 日韓関係」と題し、川上詩朗弁護士と栗原千鶴・本紙外信部記者をゲストに迎え、小池晃書記局長とともに「徴用工」問題の核心と解決の方法を考えました。司会は朝岡晶子さん。
川上氏は「徴用工」が、日本が戦争に突き進む中で、国内で不足した労働者を補うものであり、「募集」「斡旋(あっせん)」「徴用」との順を追って朝鮮半島から連れてこられたと説明。日本製鉄の「徴用工」は17~19歳の若者で、「日本に行けば技術者として朝鮮に帰れる」とだまされ、日本の宿舎で監視されるなどし、その連行・労働の状況について日本の裁判でも「強制連行」「強制労働」と事実認定されていると述べました。
事実に向き合う
栗原氏は日本が江華島事件(1875年)はじめ朝鮮半島支配を狙い、1910年の韓国併合条約での植民地化、「三・一独立運動」の武力弾圧や「創氏改名」などの歴史を紹介しました。
小池氏は「徴用工問題は時代背景や事実を冷静に踏まえる必要があるが、安倍政権は植民地支配への反省が全くない」と批判。川上氏は「過去を学ぶことは未来のために重要だが、安倍政権は事実に向き合う姿勢が欠けている」と応じました。
川上氏は、安倍晋三首相が昨年の韓国大法院判決に対し「国際法違反だ」などと主張するが、その根拠の日韓請求権協定(65年)の第1条の有償・無償の「5億ドル」には植民地の不法性を認める「賠償」の性格は含まれていないと指摘。小池氏は共産党が当時発表した日韓基本条約に対する見解で植民地支配の賠償の義務を「経済協力にすり替えた」と述べたと紹介すると、川上氏は「まさにその通り。これで『解決した』というのは事実として間違っている」と応じました。
被害者の声聞く
さらに請求権協定第2条で「完全かつ最終的に解決」とあることに対し、小池氏は「国と国との間では放棄したが、個人の請求権は残っている。さらに請求権協定では植民地支配の不法性を前提とした慰謝料請求権は対象となっていない」と指摘。川上氏は日本政府と最高裁も裁判上の救済を否定しつつも一貫して「個人の請求権は消滅していない」との立場で一致していると解説しました。
そのうえで問題の真の解決に向け、川上氏は(1)人権問題である以上、国際人権法の到達にふさわしく、被害者が受け入れ可能なものである(2)被害事実を認めて、謝罪、賠償、次世代への継承を行う(3)日韓両政府・両企業がそれぞれ役割を果たす―を指摘し、とくに「お金の問題ではない」という被害者の声を聞く重要性を強調しました。
小池氏は、昨年12月に日韓議員連盟の訪韓時に議連顧問の日本共産党の志位和夫委員長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談したことを紹介。志位氏が植民地支配の反省とともに日韓両政府の一致点に基づく解決を提案したのに対し、文大統領が「個人の請求権は消滅していないことは重要だ。この立場に立てば円満な解決がはかられるのではないか」と述べたと紹介し、「前向きの解決ができるよう野党外交でも頑張りたい」と表明しました。