赤旗2019年8月10日付
日本共産党の小池晃書記局長は9日、長崎市内で、原水爆禁止2019年世界大会に出席したオーストリア政府代表のゲオルゲビルヘルム・ガルホーファー同国欧州統合外務省公使と懇談しました。核兵器禁止条約の発効に向けた取り組みや今後の運動の発展などについて意見を交わしました。
小池氏は、オーストリアが禁止条約の実現をはじめ核兵器廃絶に向けて大きな役割を果たしてきたことを称賛。世界大会に初参加のガルホーファー氏に、日本の運動の印象を尋ねました。
同氏は「非常に印象付けられた」と述べ、「日本の運動は活発で、力がある。その先頭に被爆者がいる。世界大会での発言を聞いても、若い人が声を上げている」と述べました。
小池氏は、安倍首相が長崎の平和式典で「核兵器禁止条約の『か』の字も言わなかった」と指摘し、「日本こそ条約発効の先頭に立つべきだ」と強調。ガルホーファー氏は、被爆者を先頭にした日本の運動に大きな期待を表明しました。
また小池氏が「日本政府は核兵器保有国が参加しないから効果的でないというが、米国がこの条約を非難することこそ、効果があるという印だ」と指摘。ガルホーファー氏はその通りだとうなずき、「核保有国に独占されていた核をめぐる安全保障の議論に、禁止条約の結果、核兵器を持たない国が主体的に関わるという逆転を引き起こした」と述べました。
さらに「禁止条約が核兵器を不法だと定めたことが大事だ。たとえ政府が背を向けても、国民の中から反対の声は生まれる」と指摘しました。
ガルホーファー氏は、9月の国連総会の際に、世界のNGOと協力して、禁止条約の署名・批准の式典を計画していると説明。「批准国が増えれば、さらに批准国が生まれ、発効が早まる」と述べました。
また、オーストリアが憲法で核兵器と原子力発電を禁止していることについて、ガルホーファー氏は「1970年代初頭、当時の政権が原発を建設しようとした際、国民の間に大きな反対の声が上がった」と紹介。78年の国民投票で反対が上回り、86年のチェルノブイリ原発事故などを受けて、99年8月、「非核オーストリア」の原則が憲法に追加されたと説明しました。