日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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小池晃の活動報告

「NHKスペシャル」 小池書記局長の発言

2019年07月24日

赤旗2019年7月24日付

 日本共産党の小池晃書記局長は22日放送された「NHKスペシャル」に出演し、参院選結果や選挙戦で争点となった年金、消費税、憲法問題などについて与野党幹事長らと討論しました。


改憲勢力「3分の2」割れ―野党共闘が決定的な役割果たす

 

 自公で改選過半数の71議席を獲得したことに自民党の萩生田光一幹事長代行は、「安定基盤の上でしっかり仕事をしてほしいということだ」と述べつつ、「全てを評価してわが党に支持をいただいたわけでない」と発言。小池氏は次のように述べました。

 

小池 (今回の選挙結果では)自民、公明、維新など改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2(164議席)を割ったことが最も重要だと思っています。この点で、市民と野党の共闘が決定的な役割を果たしました。32の1人区すべてで野党統一候補を実現して、10選挙区で自民党との一騎打ちに勝った。

 

 共闘の力で、改憲の動きに打撃を与えて、局面を変えた意義は大きいと思います。

 

 共産党について言うと、比例代表で5議席から4議席に後退したのは非常に残念なんですが、2017年の総選挙(の比例)よりも得票数も得票率も伸ばし前進しております。選挙区では東京、京都で現有議席を守り、大阪では猛奮闘にもかかわらず届きませんでしたが、埼玉で21年ぶりに議席を獲得しました。全体としては大健闘と言える結果になったのではないかと思っていまして、引き続き公約の実現に全力をあげていきます。

 

 立憲民主党の福山哲郎幹事長も32ある参院選1人区のうち野党統一候補が10選挙区で激戦を制して勝利した結果にふれ、「これから衆院選に向けて、まず話し合いという形で、お互いの協力関係ができるのかについて話し合いを進めていきたい」と述べました。

 

低投票率どうみる―議論から逃げず、国民に判断材料を示すべきだ

 

 国政選挙として今回の参院選が戦後2番目の低投票率(48・8%)になった問題がとりあげられ、視聴者からは「あまりの低さに驚いている。もっと日頃から働きかけるべきだ」などの意見が。自民・萩生田氏は「今回、与野党で決定的な対立軸というものが見えなかったため、競い合う点がやや足りない選挙になってしまった」と発言。小池氏は視聴者の意見を受け、「私たちも努力しなければいけない」としたうえで、次のように述べました。

 

小池 萩生田さんは「対立軸が見えなかった」とおっしゃったんですが、なぜそうなったか。絶好の機会であるこの選挙の中で、堂々と政策論争ができたのだろうか。率直に言って、そういう政策論争を与党の側が避けたのではないか。

 

 私も何度もこの討論の場で、年金の問題などで、われわれの対案を示しましたが、ほとんど(与党側から)回答らしきものが返ってこない。憲法9条に自衛隊を書き込む問題点を指摘しても応えず、「野党はバラバラだ」という批判に終始する。

 

 そもそも(参院)選挙の前に予算委員会を開かなかった。国政の争点について十分に議論し、国民に判断材料を示すということが必要だったのに、やらなかった。そういったことも含めて、きちんと国民のみなさんに判断していただくための材料を示し、関心を高めるための努力をもっと与党がやるべきだと思います。

 

年金問題―基礎年金まで目減りさせる「マクロ経済スライド」は見直しを

 

 日本共産党の論戦で選挙の争点となった今後二十数年間にわたって年金を自動削減する「マクロ経済スライド」。自民・萩生田氏は「15年前(2004年)にマクロ経済スライドを導入し持続可能な制度になった」と、今後も同制度を続けていく考えを述べました。小池氏は、次のように提起しました。

 

小池 「マクロ経済スライド」はやめるべき時がきていると思うんです。当初の想定と変わり、もっぱら基礎年金を減らすことになってきている。

 

 厚生年金のいわゆる2階建ての部分は来年には「マクロ経済スライド」が終わるんですよ。ところが基礎年金の方は2043年まで延々と削減を続けて、3割も実質価値が目減りするわけです。老後の基礎生活を保障する基礎年金を「マクロ経済スライド」で目減りさせていくということは、見直す必要あるんじゃないのか。

 

 だからこの間の議論でも、(日本共産党は)たとえば年収1000万円超えると保険料が頭打ちになるような(現行)制度を見直して、高額所得者の負担で財源をつくること、200兆円の積立金をこれから50年かけて積み増すのではなく、それを給付に充てることを提案してきたわけです。老後の基礎的な生活を保障する基礎年金をこのままどんどん3割も目減りさせていいのかということを、お互いに知恵を出し合って、真剣に考える時だと思いますよ。そういう議論を始めましょうよ。

 

 これに対し公明党の斉藤鉄夫幹事長は「マクロ経済スライドでは、経済成長する限り、(年金の)手取りは目減りしない」と発言。自民・萩生田氏も「マクロ経済スライドを続けることを前提にどのような改革ができるか考えたい」と、「マクロ経済スライド」にしがみつきました。小池氏は、「マクロ経済スライド」導入を議論した04年時点から大きく事態は変わっていることをあらためて強調しました。

 

小池 「マクロ経済スライド」導入の際には、私も国会で議論しました。私は今59歳なんですが、私が65歳になるころには「マクロ経済スライド」は終わるという想定だったんですね、その際の議論では。ところがそれが延々と続く状況になっている。しかも「マクロ経済スライド」をかけるのはもっぱら基礎年金。これは当時議論したのとまったく違う実態になっているんですよ。

 

 厚生年金の2階建て部分だけじゃなくて、基礎年金の土台の部分に「マクロ経済スライド」をこれから3割もかけていくという。「目減りしない」とおっしゃったけど、実質価値は減るわけですよ。物価に合わせて上げるんじゃなくて、実質価値を目減りさせるのが「マクロ経済スライド」。元厚生労働大臣を務めた田村憲久さんも、あるインターネットのコラムで、「これから年金が3割も目減りしてしまう。そこをどうするのか」「厚生年金と国民年金の財政を統合し、目減りを止める」ということを提言されています。これは重要な提言だと思いますよ。こういう基礎的な部分をどうやって支えるかという議論を本気でやらなきゃいけない。最低保障年金の創設を含めて議論していく必要がある。

 

消費税増税―この景気後退局面での増税はやめるべきだ

 

 消費税10%増税について自民・萩生田氏は「8%に上げた時の景気の腰折れの経験を生かし、失敗がないように、軽減税率、プレミアム商品券などさまざまな対策をうっている。必要があればさらなる対策をうっていく」と述べました。小池氏は次のように反論しました。

 

小池 増税対策に増税分以上の予算を使うといっているのに、さらなる対策するんだったら増税しなきゃいいじゃないですか。本当にこんなのはやめるべきです。

 

 (10%増税となったら)確実に腰折れしますよ。すでに物価はあがっている、しかも景気後退している。明治安田生命保険が、夏休みに使うお金のアンケートをやったら平均消費額は過去最低になるとしています。夏休みに節約する理由は、「今後の出費に備えるため」が35%、「預貯金に回す」は31%、「消費税増税が控えているから」が30%。“駆け込み需要”すらおこらないぐらい、いま家計は冷え込んでいるんですよ。しかも「10%」という税率のインパクトはでかいですよ。消費マインドを冷え込ませることは間違いない。どん底まで冷え込ませる。「崖にむかってみんなを連れていくんですか」という話ですよ。今からでも遅くないから、この景気後退局面での増税はやめるべきだと思います。

 

 立民・福山氏、国民民主党の平野博文幹事長も10月からの10%増税の凍結・中止を主張。自民・萩生田氏は「暗い増税ではなく、幼児教育の無償化など明るい部分も政策の中にはある」と言い放ちました。

 

改憲問題―首相がまずやるべきは憲法守ること、憲法を実現すること

 

 改憲について与党は「ぜひ与野党を超えて議論を前に進めていきたい」(自民・萩生田氏)、「与野党静かに話し合える環境をつくり議論を進めるべきだ」(公明・斉藤氏)と促しました。小池氏は次のように反論しました。

 

小池 総理は今日(22日)の会見で、「憲法改正については議論すべきだという国民の審判は下った」とおっしゃったが、私はこれはとんでもないと思う。(今回の参院選では)改憲勢力の3分の2議席をストップさせた。「性急な改憲を望まない」というのが民意だと思いますし、これを重く受け止めるべきだと思います。

 

 総理は昨日(開票途中の21日)の会見では、改憲発議と改憲の国民投票について「期限ありきではないが、私の任期中に何とか実現したい」と述べました。これは「期限ありき」なんです。「私の任期中に…」なんてことをいわれたら静かに議論はできないでしょ。

 

 「自分の任期中にやらせてくれ」―改憲を自分のレガシー(遺産)にするんですかという話です。憲法は、こういう中で議論する問題ではありません。

 

 安倍政権に何やってほしいか―どんな世論調査をやっても、一番最後にようやく出てくるのが「憲法改定」です。国民多数はいま「憲法改定」を望んでないわけですから、そういうときに憲法によって縛られている首相が、自らの縛りを緩めるために先頭に立って旗を振りまくるのは、まさに立憲主義の否定です。まずやるべきことは、憲法を守ること、憲法を実現すること。これが安倍さんの仕事だと言いたい。

 

今後の政治のあり方―「議論から逃げない政治」「ウソをつかない政治」を

 

 「もっと国民の肌感覚を感じてほしい。国民の感覚と国会議員の感覚に大きな隔たりがある」「内政、外交の現状を踏まえた議論が欠けている」―今後の政治のあり方について視聴者から寄せられたメールが紹介されました。小池氏は次のように述べました。

 

小池 大事なご指摘ばかりだと思って聞きました。政治にいま何を求められているか。私はいくつかあると思うんですが、一つは「議論をする政治、議論から逃げない政治」だと思います。

 

 3月から4カ月以上、国会で予算委員会を開かない。こういうことでいいんだろうかと思いますね。きちんと国民の前でこの国のあり方、未来について議論をする。そういうと(与党は)“憲法審査会をやらせて”というかもしれないけれど、憲法審査会は改憲の発議をするところなんです。そこで議論するのではなく、予算委員会などの場で憲法について議論をすべきだと私は思います。

 

 それから「ウソをつかない政治」です。森友問題、加計問題、統計のねつ造にみられるような国民の不信感をあおるようなことはやらない。情報をきちんと示す。そして数の力で押し切るようなことはしない。参議院は「良識の府」だというなら、きちんと議論を重ねて、数の力で押し切るような国会にはしないということを強く求めたいと思います。

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