赤旗2019年7月6日付
日本共産党の小池晃書記局長は4日のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、年金問題、消費税10%への増税、憲法改定などについて各党代表と議論しました。
年金
老後資金が2000万円不足するとした金融庁審議会の報告書に関し、小池氏は、安倍晋三首相が年金を自動削減する「マクロ経済スライド」によって、年金が最終的に年間7兆円削減されることを認めたことに言及し、「削減はほとんどが基礎年金(国民年金)だ。最低生活が保障できない水準がさらに悪化することを認めるべきだ」と指摘。被保険者が増えているという自民党の主張に対し「それは高齢者が働くようになっているからだ。年金が少なすぎ、年金受給者になるべき人が被保険者になっている」と批判しました。そのうえで、保険料の上限を健康保険並みに2000万円まで引き上げれば1兆円単位で財源ができることや、株式投資に投入している200兆円の積立金を計画的に給付にあてていくなどの対案を提示しました。
さらに、小池氏は「正規雇用を増やし賃金を上げていくことで年金制度の土台をつくっていく。緊急の手当てとして、低すぎる年金の底上げをやっていくことが必要だ」と強調し、「私たちは、建設的な提案をしている。いい機会なので具体的な議論をしましょう」と呼びかけましたが、自民党の萩生田光一幹事長代行、公明党の斉藤鉄夫幹事長は回答を避けました。
消費税
10月に政府が予定する消費税増税に関し小池氏は、4月に萩生田氏が、増税を実行するかどうかについて「次の日銀短観はよく見ないといけない」などと述べていたことに言及。今月1日に発表された日銀短観で、とりわけ中小企業製造業が7ポイント下落しマイナスになるなど深刻な数字が出たとして「発言に照らし見直すべきだ」と強調しました。
小池氏は、大企業の法人税の優遇をやめるとともに、富裕層の株式配当は総合課税にし、高額の株取引は欧米並みの30%以上の税率にするなどの対策こそ最優先だとして「これだけ景気が悪化しつつあるときに消費税を増税するのは言語道断だ」と主張しました。
萩生田氏は「よほどのことがない限り10月に予定通り上げさせていただく」と発言。これに対し野党側は「法人税や大企業の増税をなぜやらないのか」(社民党、福島瑞穂副党首)「この状況での増税は凍結すべき」(立憲民主党、逢坂誠二政務調査会長)などと現状での増税に一致して反対を表明しました。
消費税に関する将来の政策が野党で一致していないとする与党の攻撃について小池氏は、野党側は10月の消費税増税に反対する点で一致していると強調。3日の党首討論で、10%引き上げ後に今後10年の増税は必要ないと述べた安倍首相の発言を公明党の山口那津男代表が疑問視したことにふれ「野党がばらばらだと言われる筋合いはない」と強調しました。
飲食料品を中心に税率を8%に据え置く軽減税率についても「相当混乱する」(逢坂氏)「軽減でなく『据え置き』。言葉自体がまやかし」(小池氏)などと批判。斉藤氏は「制度の導入自体に意義がある」などと開き直る一方「(増税の)経済への影響は、いわゆるそれほど大きくない」などとしどろもどろになりました。
9条改憲
安倍政権が狙う憲法9条への自衛隊明記の憲法改定に関し小池氏は、「集団的自衛権を無制限に行使できるようになり、海外で戦争のできる国になる。絶対に反対だ」と強調。「立憲主義を破壊する安保法制を強行した安倍政権に憲法を語る資格はない。まず憲法を守るべきだ」と指摘しました。
斉藤氏は、参院選に向け32の1人区で野党が候補者を一本化したことに関し「自衛隊を『違憲だ』『合憲だ』と言う政党が組むのはおかしい」と発言。小池氏は、山口氏が自公連立政権内でも憲法の考え方は違うと認めた発言をしていることにふれ、「憲法の考え方の違いで野党共闘に難癖をつけるのはやめるべきだ」と批判しました。
その上で小池氏は、共産党を含む野党の連立政権が実現した場合「政府の憲法判断としては、『自衛隊は合憲』という立場をとる」と強調。「党としては自衛隊が違憲だとの見解だが、そのことに国民の合意がない段階で連合政府の中に持ち込むことはしない」と改めて表明しました。
野党共闘
度重なる野党共闘への与党の攻撃に対し国民民主党の平野博文幹事長は「野党一本化の脅威」を感じているからだと指摘し「野党の政治勢力を大きくする大義のために、共通項を見いだして一緒にたたかう覚悟をしなければいけない」と強調。逢坂氏は「野党間で相当調整をして一本化できた。手ごたえは大きい」と語りました。
小池氏は、市民連合と協議を重ね13項目の政策合意に調印したことにふれ、3年前に比べ一致点がより広がったと強調。「大事なところで政策を一致させてきた。32の1人区で勝ち、自民、公明、維新を少数に追い込むたたかいをしていきたい」と意気込みを語りました。