宝の議席必ず
小池晃さん東京選挙区/宝の議席必ず/愛知県内野博子さん/トヨタ過労死繰り返さないで/国会で迫り控訴断念

 過労死を招いた、ただ働きのQC(品質管理)活動を業務と認めさせたトヨタ自動車の内野健一さん裁判。妻の博子さん(40)は「名古屋地裁で勝訴後、小池さんが、国は控訴するなと質問してくれたことは大きかった」と語ります。

世界が注目


 トヨタ堤工場(愛知県豊田市)で健一さんが倒れたのは2002年2月9日午前4時すぎ。引き継ぎの記録中でした。北米輸出の好調で土曜出勤や残業が増える一方、正社員の3分の1が非正規社員に置き換えられるなど職場環境が激変。製品の不具合が多発し、品質管理業務の班長(EX)だった健一さんは激しい叱責(しっせき)を日常的に受けるようになりました。QC活動や改善提案、EX会、組合活動にも追われ、過労死認定で問われる死亡1カ月前の残業時間は144時間に達していました。
 ところが豊田労基署は残業時間を45時間と算定。労災と認めず、「会社にいたすべての時間仕事をしていたわけではない。お茶を飲んだり雑談をしていたかもしれない」としました。「夫の頑張りを認めさせたい」。博子さんは国を相手取った裁判を始めます。
 全国に広がった支援。07年11月30日、名古屋地裁はQC活動を業務と認めるなど、博子さんの請求を全面的に認める判決を出しました。判決は外国メディアを通じ海外にまで伝えられました。トヨタの長時間・過密労働に声をあげた労働者・家族のたたかいに世界が注目したのです。
 小池さんは12月11日の参院厚労委員会で取り上げました。「これは日本社会全体にかかわる問題だ。世界企業の社会的責任という点でも、国は誠実に対応すべきだ。判決に従い控訴すべきでない」。こう迫られた舛添要一厚労相(当時)は「小池委員の意見もきっちり踏まえた上で検討したい」と答弁。厚労省は14日に控訴を断念しました。
 博子さんは「裁判にかかわる負担は大きい。地裁段階で確定したことは本当に助かった」と語ります。

家族の幸せ


 判決後も、豊田労基署は遺族年金の支給額をトヨタ言いなりの残業時間(45時間)で算定します。08年1月9日、博子さんは舛添厚労相に要請。同席した小池さんは「過労死を二度と繰り返さない指導を」と求めました。
 「それから労基署の態度がコロッと変わって、どんどん話が進んでいく。政治の力を感じました」という博子さん。しばらくして厚労省から判決に沿った残業時間で算定するとの決定が届きました。
 判決後もQC活動を業務と認めようとしないトヨタ。小池さんは3月27日の厚労委員会で内部資料を示し「隠れたサービス残業であり、地裁判決の判断基準に沿って厳格に対応すべきだ」と告発します。トヨタは6月1日から「業務」とする部分を拡大しました。
 博子さんは今年、お城に熱中している息子の願いをかなえようと、子ども2人と初めての家族旅行に出かけました。行き先は姫路城。「トヨタはいまでも労働者の家庭を無視した連続2交代勤務を続けています。医師でもある小池さんには、人間が人間らしく健康的に働ける、家族の幸せが日本全体の幸せになる社会をつくるためにがんばってほしい。なによりも過労死をなくすために」
(2010年04月29日・しんぶん赤旗)

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