Dr.小池の世直し奮戦記
いのち守るワクチン行政へ転換を/ヒブワクチンの定期接種化、いますぐ
「いつでも元気 2009.12 No.218」より

Dr.小池の国会奮戦記/いのち守るワクチン行政へ転換を/ヒブワクチンの定期接種化、いますぐ

 「ヒブワクチン」という言葉を、しばしば耳にするようになりました。ヒブというのは「インフルエンザ菌b型」という細菌の略称です。
 インフルエンザといっても、今問題になっている新型ウイルスとは無関係。19世紀末にインフルエンザ患者の喀痰から見つかったために、そういう名前が付けられたのです。今では、インフルエンザの原因は細菌ではなく、別のウイルスだということが明らかになっています。

遅れた日本のワクチン行政

 ヒブの感染で最も怖いのが髄膜炎です。乳幼児の髄膜炎の原因としてはヒブがダントツの1位である上、日本では最近、増加傾向にあるといわれています。しかも抗生剤が効きにくく、5%は死に至り、重い障害を残す後遺症も20%に発生します。ワクチンで予防するのが最も有効なのですが、日本はこの問題ではまったくの「後進国」。守れる命が守れていないのは、まさに政治の責任です。
 ヒブワクチンを承認している国は193カ国と、世界の大半です。WHO(世界保健機構)も接種を推奨しており、定期接種化しているのは133カ国にのぼります(希望により受ける予防注射を任意接種というのに対して、行政の責任でおこなうものを定期接種といいます。その場合の費用負担は無料か低額で、万一副作用被害が出た場合の保障も、手厚くなっています)。

「子どもは社会の宝」と

署名を提出した新日本婦人の会のお母さんたちと(10月21日)
署名を提出した新日本婦人の会のお母さんたちと(10月21日)

 アメリカではすでに20年以上前に認可され、ヒブ感染症は100分の1に減少しました。効果も安全性も国際的には確立している治療法でありながら、日本で承認されたのは07年1月、発売されたのは昨年12月でした。しかし公費による定期接種でなく任意接種のため、保護者の負担は1回8000円で、4回接種すると3万円をこえます。
 先日、国会に新日本婦人の会のみなさんがおいでになりました。小さいお子さんを抱えたお母さんたちから、一刻も早い定期接種化を求める請願署名を手渡されました。あるお母さんは「政治家のみなさんには『子どもは社会の宝』といってほしい」と訴えられました。まさに脱帽です。この願いにこたえなければ。

希望者増え、品不足は深刻

 高い費用にもかかわらず、ヒブワクチンの希望者は増えており、医療現場では深刻な品不足になっています。厚労省は輸入量を増やすようにメーカーに働きかけており、来年からは今年の3倍供給できるとのこと。しかし、生後3カ月を過ぎたら打ち始めるワクチンなので、来年まで待てません。「ただちに輸入量を増やし、定期接種化を」と求めていきます。
 乳幼児の髄膜炎の原因としては、ヒブについで2番目に多い肺炎球菌の小児用ワクチンについては、今年10月に日本での販売が承認されたばかり。これも、一刻も早い販売開始と定期接種化を実現しなければ。
 いのちを守るワクチン行政への転換を。「建設的野党」の仕事はまだまだたくさんありそうです。

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